『妖花―ルビー・アンソロジー〈1〉』
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高名な三国志やおい小説を、ようやく外伝だけ見つけて読むことが出来ました。
ギブアップ…ギブアップ…(涙目)
お耽美よりも、やおいよりも、…人間関係が痛いのがダメでした。あと、蜀が和気藹々国家(笑)じゃないのも、ちょっと。
蜀の国の老農夫が「夜、戸締まりをしないのは、治安がいいからじゃなくて、貧乏すぎて戸がないからですっ 落ちてるものを誰も拾わないのは、市民の行儀がいいからじゃなくて、法律で罰せられるのを恐れるからですっ」「この人の政治が厳しすぎたんですっ みんな恨んでますっ」と孔明を糾弾する場面がありましてん。*1
吉川英治の三国志に、蜀の政治が良かったたとえとして「夜に戸締まりする人も、道に落ちているモノを拾ってネコババする人もいなかった」という話が出ていて(たぶん。きょう探したけど見つからなかった)、それを裏返したのだと思った。←戸締まり云々は「治安がいい」の定型表現らしいっす(追記)
ありもしない事実を捏造するのではなく、ある出来事の見方だけを変えることで別の解釈を成立させる、そういうアクロバチックな手法が大好きだと普段から公言している身としては、拍手を送らねばならぬ場面と思うのですが、ごめん、胸が痛んでダメだ…。
きょう読んでいた高島先生の本にも孔明の統治は厳しかった説が載っていました。
アンソロジーは95年発行。高島先生の本は94年。
いっしゅん、高島先生の本が元ネタなのかと思いました。
が、あまり知られていない?説とは言え、歴史書の『三国志』の注釈に載っている説なので、お二人の著作は相互には関係なく、同じ元資料を見て書いただけかも知れないなあ、と思ったりもしました。良く分かりません。
*1:もう本を返してしまったのでセリフはうろ覚えです。すみません。