「リバー、流れないでよ」


 面白かった…
 
 貴船山の旅館を舞台に2分間をループし続ける人々の物語。ハイテンションで展開がアイディアに満ちていて時間を忘れて見入ってしまった。
 
 途中でキュウウーーンとなってしまいました。異常事態が起きている「非日常」の状態は、大変だけれども、ふだんは言えないことが言えたり、ふだんできない行動ができたりする夢の時間でもある。特に今は2分経てば消えてしまう時間だから、よけいに…
 ここから抜け出す見通しが立った時に主人公は意識したと思うのです。ふだんなら言えないことが言えている「今の夢の時間が終わってしまう」見ている私もキュウウーーンと来ちゃった。寂しさと愛しさに。
 映画を見るという体験も「非日常」です。あ、この時間(映画)がもうじき終わって、この場所とも愛らしい登場人物ともお別れしちゃうんだって。
 
 あと事件が時間に関するものだってのもアツいなって思いました。脚本家は手練れだな?!
 
 「SFはもう土か米みたいなもん」的なことを誰かが言っていましたが(たぶんTwitterで読んだ)、改めて実感しました。「ループ」「時間線」などの言葉がほとんど説明なく使われていて。「ターン」「初期位置」……はゲーム用語か。
 考えて見ると現実には存在しない時間の状態を表す言葉が、日常語になってるのは異常なのでは?面白いよね…
 
 唯一、最高齢の登場人物(推定60代?)がループが分からなくてタイムリープとどこが違うのかと食い下がっていました。その人はタイムリープは知ってるんですよね…SFファンのボリューム層は還暦と聞きました。この辺、異様なリアリティを感じて気味が悪かったです。