『不都合な真実』
ノーベル平和賞のアル・ゴア元副大統領主演の環境問題を扱った映画です。
再上映がかかったので遅まきながら見てきました。
ゴア氏のスライド講演をもとに映画に編集したものだそうです。
だから?ゴア氏がずーーーーっとしゃべってるの。しゃべりっぱなし。
1時間半ちょいの映画なんですが、途中で1時間半ちょいてのは自分の見間違いだったんじゃないかと思いました。体感的には3時間ぐらいあったように思えました?
と言うのと矛盾するかも知れませんが、テレビでも生でも、こんなに講演がうまい人ははじめて見ました!
なんというプレゼン力。
言葉は明瞭で聞き取りやすく、スライドは変化に富み退屈させない。
そこここに挿入される上品なユーモア、抑制の効いた皮肉。
最後には「ゴア様すてき…」とか思っている自分がいた…
ゴア氏は世界中で1000回ぐらいこの講演をしたそうですが、1000回やると練れてこんな風になるのでしょうか。もはや「芸」の域としか。なんという異常なプレゼン力。
南極の氷から得た65万年におよぶCO2変動を示すグラフがスクリーンに映されます。
横長のスクリーンいっぱいのスペースに65万年前から現代に向けてゆっくりとCO2レベルを示す折れ線が水平に伸びて行きます。
グラフにそって、ゆっくりとゴア氏も歩きながら講演を続けます。
ついで近年の急峻なCO2レベルの上昇につれて、講演を続けながらリフトで天井近くまで上昇するゴア氏。
リフトの上から「どうよ?」とコミカルな表情を作り、表情で聴衆に問いかけるゴア氏。
内容よりも、スライドの動きと話の展開がぴったりシンクロしている「芸」に感嘆し「ゴア様すてき…」とか思っている自分が…はわわ。
しかしこれほどまでに悪く言えばショーのように魅せる講演ははじめてです。
このような異常なレベルの「プレゼン力」は、ゴア氏個人の力なのでしょうか。それとも、あるジャンルでは当たり前の水準なのでしょうか。わたしが無知なだけで?
思い返せば、わたしが聴いたことのある講演は、学者か作家によるものだったかも。
一流の学者の講演が一流であるとは必ずしも限らず(いやむしろ一流の学者ほど眠気が強い傾向はないだろうか?)、作家というものが話すのも上手とは限らず、また、これほどの水準は誰も要求しなかったと思う。要求することすら思いもしなかった。
つーか氏は政治家だから、日本の政治家と比較するべきなのかも知れません?
でも日本の政治家のスピーチって、その場だけわーっと盛り上がって、あとで「何言ってたっけ?」って首をかしげちゃう感じじゃない?
わたしのまだ知らない広大な芸の世界があるのかなあ…と星空を見ながら考えています。
本よりもDVDが欲しいと思いました。
英語の教材に良さそうな感じで。
(そう思って買ってもけっきょく教材に使ったりはしないのが常ですが)
いえ、けっしてゴア様すてき…!と思ったからではなくて。
不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
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