東元俊哉「テセウスの船」

「にわかに熱くプッシュし出して…どこまで読んだの?」

「3巻までです」

Amazonがセールしてた部分だね。全何巻か知ってるの?」

「全10巻です。完結してます。いまググって確認しました」

「いまかよ」

「民放でテレビドラマになってた時点で完結したんだろうと想像してましたが…最近モーニングに載ってなかったし…」

「モーニングで読んでなかったの?」

「見た目でタイムスリップものとは分からなかったから…知ってたら読んだなあ」

 

 平成元年、北海道の小さな村で小学生16人教員5名が犠牲となる青酸カリ毒殺事件が起きた。犯人として村の「駐在さん」が逮捕される。 主人公は、犯人の息子。「加害者家族」として、母の苦労と残された家族がバラバラになるのを目の当たりにしてきた…そんなある日、

 原因不明、原理不明のタイムスリップ!

 気がついたら事件の3ヶ月前の そ の 村 に い た !

 手元には、事件の詳細を調べたノート。若き日の父、駐在さんと協力して真犯人を…いや、悲劇を止めろ! 完結したってことは、タイムスリップの理屈が説明されてるんでしょうか?読むのが楽しみです。

 うまい設定ですよね… わたしね、真のファンタジーとは、心を癒す本物のファンタジーとは「死者との対話」だと思うのです。父親を知らぬ子が、亡き父親と語らい心の整理をつけること。古典的には幽霊の出る話かもですが、そうかタイムスリップか〜

 「テセウスの船」では、お父さんは死んでませんけど。死刑囚として収監されていて、息子である主人公は一度も会いに行ってない。まあ物語上は死んでるのといっしょですね。マンガの中で生き生きと動くのは、事件前後の若いお父さんで。 自分の名前の由来を、お父さんから直に聞くんですよ。涙腺決壊ですよ( ;∀;)

 これ、ラストどうなるんでしょうね?事件が解決したら雑に現代に戻るのか。

 ノートの文字が薄くなったりとか、干渉で歴史が変わるっぽい描写が…それは歴史が変わるのか、別の宇宙に分岐していくのか…(*´ч`*)

 話は変わりますが、アマプラのトゥモロー・ウォー、未来に転送できるのは、それ以前に死亡している人間のみという設定でした。パラドックスを防ぐため?

 でもさ「テセウスの船」じゃあないですけど、今の自分と30年後の自分、物理学的には別の個体では?年齢も違うし、構成元素も入れ替わってるはずだから。

 もしも同一の存在でパラドックスを引き起こしうるとしたら、魂を仮定せねばなりますまい。

 だなんてこういうこと空想してる時がいちばん楽しいな。

 ウワー突然現代に戻ったァァァ! バック・トゥ・ザ・フューチャー方式だぁぁぁぁ!

 

 最愛の妻とは、結婚してなかったことになっていました( ;∀;)

 となると2017年まで28年間、違う人生を歩んできた「自分」がいたはずですが、その自分はどこに行ったのでしょうか?怖! 主人公は父に会いに行きます。生まれてはじめて父に会うのです。出てきた父は、ともに1989年を過ごした父でした。

 主人公がタイムスリップする前まで、1989年に主人公と会っていない別の父がいたのでしょうか?考えてゆくと怖いです。ちょうこわい!やめて! え、待って、タイムスリップ以前は「父」を観測していない訳だから…父と歴史改変後の父’とが未確定のまま混在…なんかしてないか…/(^o^)\

 こうやって、出てくる描写から作中の「時間の構造」を想像してくの、楽しいですよね。「ジパング」とか「夢幻の戦艦 大和」とか。

 ときめきを返せ。