真鍋譲治「銀河戦国群雄伝ライ」
真鍋譲治は90年代の神のひとりと言ってよいのでは。
いまでは忘れ去られている感じですが…
「銀河戦国群雄伝ライ」はすごいですよ。
スペオペ三国志です。
足軽スタイルの少年が、英傑たちを相手に天下を争います!
宇宙戦艦で艦隊戦…砲撃戦のあと接舷して乗り込んで白兵戦をやる世界です。
むちゃくちゃです。
忘れられない場面があって。
「五丈の兵士は
真空中の耐久時間の
長さで
知られていた」
ってキャプションに、
主人公が仲間と戦艦の外(宇宙)に出る時に
「よーし!みんな息止めろーっ!
ハッチ開けるぜ!」
って言ってるコマがあって…息止めろと来たか…強烈で一生忘れられない。ときどき「あれはなんだったのだろう」と場面を思い返していました。
その懐かしのマンガを電子書籍でもう一度読むことができました。
三国志的なキャラクターと戦国時代風のキャラクターが入り混じり、宇宙(そら)を真っ黒に覆いいつくす宇宙大艦隊にその甲板上を疾走する象部隊(えっ?
天才軍師の策が冴え渡り水計が大成功、敵の超弩級戦艦は宇宙で次々と水没だ!(えっ?
いやもう厨ニ病的…まさに中学生が授業中にぼんやり空想してそうな感じです。
が、恐ろしいのはキャラクターも艦隊戦も同じクォリティで描き切り、全27巻でちゃんと完結してること!
突っ込みどころは多々あるけれど(宇宙戦艦があって無線通信と航空機がないの?とか)、少年マンガとしてバトルが熱くて面白い。
偉業です。怪作です。
マンガが人力で紙に描かれてた時代の作品で、工房のように大勢のアシスタントを抱えて描いたのでしょうね。
宇宙戦艦が主砲を撃ち合う場面が見開きで5ページも6ページも続いて、どれだけの労力をかけたのかと目眩がします。(連載で読んでたら泣いたろうな…話が進まなくて…)
21世紀のいま読み返して、女性キャラクターが多彩で驚きました。
80年代ラブコメ的キャラクターがいて(邑峻と神楽)、男性と同じ地位と責任を負っている女性キャラクターがいて(正宗、狼刃、華玉)、次期皇帝の母となることで天涯孤独の亡国の姫の立場から一発逆転を狙う女性キャラクターがいて(麗羅)、面白いな〜と思いました。
わたしがいちばん気になる武将は夏侯獣かな!
名前が直球すぎ…出落ちみたいな印象。でも強くて高潔な老武将なんです。ギャップで脳がうにうにしてくる。
そして夏侯獣将軍の息子の名前は夏侯才だそうですよ!
獣→才!
名前だけで空想が広がるな…南蛮出身の夏侯獣が若くて多感な頃に中華文明に触れたのかも!辺境の部族が連合王国にまとまっていく時代で!(早口