『ネクロノミカン』--ラヴクラフト映画

ネクロノミカン [DVD]

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 あー、いや、その、レンタルして来たのですが。
 たしか映画館では見れずじまいで(田舎では上映してなかったのかすぐ上映が終わってしまったか)レンタル開始直後に張り切って借りて見たはずなのですが、キレイサッパリ内容を忘れていて楽しめ、いや、たいへんなショックを受けました。
 グロ駄目なんだー…orz


 オムニバス形式の作品です。
 怪しい宗教団体?の図書館の最奥でラヴクラフトが秘蔵の「ネクロノミカン」を閲覧する"The Library"ではじまり、ラヴクラフトが読んだ物語として3つの短編が挿入されます。「ネクロノミカン」は魔導書ではなくて同タイトルの短編小説集だった模様(嘘)
 短編は、"The Drowned" "The Cold" "The Whispers"と言うタイトルで、それぞれ「壁のなかの鼠」「冷気」「闇に囁くもの」が原作という話です。が、"The Cold"以外は完全別物作品に仕上がっており、こんなラヴクラフト作品知らないよ!と狼狽してしまいました。ついこの間「全集」を読んだのに、自分はもう内容を忘れちゃったのかと。焦った。
 "The Cold"は、我らが平成ガメラ金子修介氏が監督しております。もっとも原作に忠実でしたが、ロマンスが…いや男女の愛憎どろどろが追加されていてうへーと思いました。原作よりも嫌度が上がっていると思います。でも「博士」はステキな老先生でした。俳優さんはデヴィッド・ワーナー氏。
 "The Library"と"The Whispers"はブライアン・ユズナ氏が監督しています。
 わたしは無知で知らなかったのですが、ユズナ氏はそのスジではとても尊敬を集めている方らしいですね。"The Whispers"のグロ描写と救いようのないラストにぎょえーと楳図かずおスタイルで恐れおののいたのですが、これこそがユズナ節で、この方角に過激であるほどファンは大喜びして腹を抱えて笑い転げるという、そんな尊敬…?
 わたしはもう降参降参降参です。ホントにもう勘弁してつかぁさい(土下座)


 でも"The Library"のパートはイイですね!
 ラヴクラフトがハンサムで。もう少しイイ服を着せてあげて欲しかったように思いますが、貧乏作家だから仕方ないのでしょうか。
 あと、対応したお坊さん(人外)がすさまじくお間抜けだと思いました。虚弱体質で引きこもりのラヴクラフト先生ごとき(ごめんなさい)に大事な鍵をスられるなんて、絶対どうかしてるです。クライシスに遭ったときの行動もお間抜けで、知力体力機転いずれも人類以下って感じでした。*1
 そうだよ、人外種族がすべて人類以上のスペックでむしろ神に近しい、なんてのはファンタジーなんだ!と目からウロコが落ちる想いでした。そして有名な一節を思い出しました。
 「なんであれ、彼らは人間だったのだ。」

*1:それに比べラヴ先生の勇敢さと言ったら!つーかほとんど別人?