『ヘルボーイ』--ドイツ軍人はああじゃないと!

 優れた感想はその作品への興味をかき立て、作品を味わった後もう一回読めばネタバレ配慮でぼかして書いた部分が楽しめて二度面白い。誰それに萌えた萌えたの悲鳴だけの感想など他人に読ませるに値しない。
 と分かっちゃいるけど、アホのように連呼しちゃうよ!
 クロエネンがカッコイイ!カッコイイ!カッコイイ!


 同行者ともども、冒頭5分でナチの制服を着たウォーズマンみたいな人(クロエネン)にノックアウトされました。黒ずくめなのも仮面なのも痩身なのも体が柔らかいのも、しゃべらないのもワーグナーのアリアと刃物が大好きなのも、機械みたいな歩き方も、ときどき胸のゼンマイ(?)を巻いてるのもみんなみんなグッと来た!*1
 これ以上ないくらいドイツ人(の悪役)らしい奴だなあととても感心したのですが、この感慨はドイツ以外の国で作られたフィクションで培った間違ったドイツ人観に基づく感慨であり、ドイツの人はこのようなキャラ造形を見るとニッポン=スシゲイシャトージョーと言われたぐらい腹が立つんだろうなあと想像します。*2
 ですが、自分が日々フィクションで肥大させたイメージを、想像以上のクオリティで実写でスクリーンの上に見つけるとどうしてこんなにうれしいのでしょうか。偏っている知識と感性を共有する同志を見つけた!と思うからかなあ。
 それにしてもクロエネンいいなあ。ゴキ○リちっくだけど魅力的だなあ。インターネットのオークションで軍服バージョン(限定品)を見つけ入札するかしないか葛藤している今日この頃です。


 私はとても怒りっぽい方です。もしも自分に超能力があるとしたらファイアスターターだと(勝手に)思っています。これだけハラワタ煮えくり返っても火が出ないってことは、超能力は実在しないんだろうなと(勝手に)思ったりもします。
 でも、実際のファイアスターターは、辛いんじゃないかと思いました。うっかり腹を立てると大事な洋服や写真やレアなフィギュアや貴重な絶版本が、大切なメールや不出来でも時間をかけたから愛着のある絵データの入ったパソコンが燃えてしまうなんて。いつ火が出るか分からない以上、大事なものは身近に置かないか、身近のものをあえて愛さないようにするしかないのかも。
 それはともだちや恋人にも言えることで、、
 
 暗い色の服を好みいつも寒そうにしていて目の下にクマがあるヒロインは、ポスターでの自分の女性としての魅力への自信と超能力への自信とに満ちた姿とぜんぜん違って華が足りないように思えました(それでもじゅーぶんかわいいけど)。が、今思えばファイアスターターの鬱屈を抱いて登場した彼女が、冒険の中で鬱屈から解放され最後にかわいく見えたってのは映画をより魅力的にしていたと思います。
 ぜんたいに、モンスターは特殊メイクとCGで魅せればOK?で終わらず、動作に至るまでキャラが作り込まれていたので感銘を受けました。
 つか半魚人がステキで! カエルっぽいつーか昆虫ぽいっつーか人類外の法則に従った身のこなしに高い知性と繊細な超能力。こんな魅力的な半魚人ははじめて見た思いです。
 あと、元ナチス女性将校の専用装備:ハンマーは何かの隠喩なのでしょうか?


 この映画を見ることを決心させた、優れた感想
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 ヘルボーイ公式HP


 Googleで「Kroenen」で画像検索すると海外サイトで配布されていたとおぼしきクロエネン壁紙が引っかかりますぞ。ムッハ〜。

*1:素顔はホラーで人柄はサイコホラーだったので、ちょっと引いた。機械が良かったなあ

*2:それとも、またヤンキーがやらかしたと笑うのでしょうか?