『ナショナル・トレジャー』--名所巡りアドベンチャー!

 なぜスギ花粉が飛び交う中をわざわざ映画館に出かけていって、安くもない入場料を払って*1映画を見るかと言えば。
 かつてはすぐれた幻視者の脳裏にだけあったヴィジョンを(それは紀元前の大都市や、ひとなぎで大都市を壊滅させるUFOの主砲や、異形の怪物たちの人智を超えた戦いや、中国4000年の超絶剣技や、人類終末の光景やなんやかや、フツーに生きてたら一生拝めないものであります)スクリーンで見せてもらうためです。
 それを暗くて音響のいいところで、大きなスクリーンに映して頂いて、全身弛緩して口を半開きにしてトランス状態で観るのがいいんじゃないですかぁ。
 ご自宅にすんごいホームシアターがある人ならいざ知らず、超狭い我が家で小さいテレビで、なんとなく手持ちぶさたになりつい片づけものをしながら見るのとは絶対、トランス度が違うっ(力説)
 そのような意味で、この映画が「映画館で見るべき映画」かどうかは微妙。と思っていました。
 その予感は当たっていました。
 ではつまらなかったかと言えばさにあらず。家族連れでも安心な正統派娯楽映画と思いました。映像(だけ)がウリの映画が、しばしばレンタルビデオで見るとがっかりするのとは逆に、レンタルビデオどころかテレビ放映で見てもふつうに面白いかも!だ!


 フリーメイソンがアメリカに持ち込み隠した財宝、独立宣言書の裏側に隠された宝の地図! 財宝が世に出れば歴史が変わってしまいかねない…冒頭、まだ幼い主人公(後年のむささが嘘のようなラブリーな少年だった)に、おじいちゃんが一族に伝わる秘密の財宝伝説を語ります。目を輝かせ聞き入る主人公。父親が「トンデモにつき合って財産を失って、そのうえ孫にまで吹き込むのか!」と怒鳴っても、おじいちゃんはめげないし少年の瞳の輝きも失われることはありません。胸高鳴る冒険の予感!これだけでご飯三杯いける。
 夢いっぱいのヒストリカル?謎解きモノに、さらにアクション映画の要素も入っています。
 後ろからは悪者のライバル(人殺しも厭わない)が追っかけてきてて、FBIにも追われていて(窃盗で)、彼らに追いつかれる前に謎を解かねばなりません。長考は出来ない構造になっています。走りながら考えろ!(実際走りながら考えてる)
 対人交渉的な要素もあり、時にはキーアイテム(RPGならシステム上捨てられなくなってる級の)も取引材料に使いつつ、とっさのひらめきで追いすがる敵勢力の鼻先をかすめて逃げたり合従連衡で敵の行動力を利用して食い逃げ?したりするハラハラドキドキ映画でした。
 特にライバルが絶妙で! 彼はハナシを面白くするツボを心得ている!*2
 つねに半歩の差で主人公を追っていて、追いつきそうで追いつけない。かといって完全に撒かれたりはしない。主人公より劣るとはいえなかなかの推理力を発揮して追いすがってくる。主人公と似た発想で宝を目指すものの微妙に力まかせで粗雑なのがいい。最後まで武器を手に持たない(マジ)主人公チームの機知とスマートさが際だつ仕組み。
 冷静に考えるならあんな連中を相手に銃の一個も持たずに逃げ足と機知だけで挑むのはすッごく無謀だと思います。だから隠された宝は使いかたによっては世界が滅びかねない古代超文明の超兵器かと思って期待してたのですが、そこまで阿呆な映画ではありませんでした。(←ネタバレなんでうっすらと隠してみました)


 あとね、独立戦争関連の名所を舞台にドタバタやるので、さりげなくアメリカ歴史名所巡りにもなっていました。尺の都合で(文字通り)駆け足気味とは言え現在の街なみに歴史の面影を探す趣向は、ワシントン-ニューヨーク近辺と歴史に詳しい人は倍楽しめるのではないでしょうか。パンフ後半には観光案内もついていて、…旅行をしたくなった。
 それからベンジャミン・フランクリンは日本で言えば平賀源内みたいなイメージなのかなあと思いました。フランクリンならそんな発明もしてそう、と思考停止しちゃうのが面白かったです。


 個人的には、主人公の父親役が印象的でした。(主人公チームのオタク青年も良いキャラしてたけど)
 お恥ずかしい話ですが、父と息子の葛藤話にゃ弱くて…花粉症の涙だけではなかったのだよ。
 俳優さんにもどことなく見覚えがあって、上映中ずっと気になっていました。ブラッカイマー印の中でもひときわ悪名高い?「パール・ハーバー」でルーズベルト大統領の役をやってた方でした。そう!そうだよ!真珠湾急襲の報にマジびっくりしてたルーズベルト!*3 「立った、立った、ルーズベルトが立った!」みたいな有名なエピソードなのかなあと推測しつつも日本人には?な見せ場もあったあった。そうそう、ルーズベルトの車いすを押していた年配の黒人の召使いさん?が体格良くて上品、なおかつ忠誠心と分をわきまえた感が素晴らしくてねえ…(DVDで確認中)
 われながらブラッカイマー大嫌いって言いながらよく見てるなあと思います。


 はてなで見つけた凄い感想
 id:ishmael:20050402
 良くも悪くもファミレス料理のようなこの映画によくぞここまで。




 映画のあと、会社に顔出しました。
 「ヘルボーイ」の日本限定スペシャルフィギュアBOXが届いていました。(出張とかぶりそうだったので会社の方に送ってもらった)
 箱が、いつものアマゾンの箱ではなくてメーカーがつけるいわゆる「輸送用」の箱で、でっかく「ヘルボーイ 日本限定スペシャルフィギュアBOX」って書いてあり、うひょーでした。素直に自宅に送ってもらえば良かったと思いましたが後の祭りです。
 ディスクは3枚入っているようです。フィギュアの付かない版は2枚なのかなあ。アマゾン様の説明ではよく分かりません。

*1:今回は払ってませんが

*2:指輪物語のボロミアだった…ぜんぜん気が付かなんだ…

*3:ルーズベルトは知っていた説がメジャーなのは日本だけなんでしょうか