『オペラ座の怪人』--ファザコンの呪い?

 いやもうファントムが可哀想で可哀想で。シクシク泣いてしまいました。
 人が生きるか死ぬかの瀬戸際で、何でこの人たちは歌ってるんだろう、とクライマックスでちょっと我に返ったりもしましたが。こ、これがミュージカルってヤツか。
 でもとにかくファントムが可哀想で可哀想で。「マスカレード」のサビを口ずさむファントムが。早くから才能を見いだして何年もかけて影から指導して、やっとメジャーデビューさせた娘さん(クリスティーヌ)を、デビューしたその日にぽっと出の金持ちでハンサムな若者(ラウル)にさらわれたんじゃ…そりゃー悔しいよ。そりゃー悲しいよ。腹立つよ。そりゃーストーカーにもなろうというものさ!(?)
 だいたいクリスティーヌがフラフラしててどっちにもいい顔してるから!もう!もう!バシッと断れよ!ラウルを!とやきもきしました。
 あ、いや、ずっとファントムがんばれ視点で見ていたので、映画の意図をきちんと理解できていないかも知れません。以下の感想は話半分で聞いて下さい。


 中盤、クリスティーヌが亡父のお墓参りに行って「大好きなお父さんさようなら」なんて歌ってるあたりで、あっと思ったのですが、もしかしてこの話は若者サイドから見るとファザコンの呪いに縛られた娘(クリスティーヌ)を勇気ある若者(ラウル)が解放する話なのかしら。
 だとしたら、クリスティーヌはどっちにもいい顔してる訳じゃなくて、ラウルが大好き!って思っているのに父親を連想させるファントムが目の前に現れるとファザコンの呪いが発動して抵抗できなくなっちゃうのかなあ。
 クリスティーヌ役の女優さんは、ポーっとしてて、笑っててもどこか困り顔みたいな、いい人なんだろうけど意志が弱そうな雰囲気で、ファントムに魅了されてる(演技をしている)時のクリスティーヌは、意志が弱いを通り越して魂が抜けちゃってるようなポーっと顔120%に見えて、ああそうか、これがファザコンの呪いか、と。*1 *2
 かなり後の方まで、クリスティーヌはファントムが実在の人間(もちろん生理的な欲望も持った)だと気がついてなかったのでしょうか。死んだお父さんのスピリットかなんかと思い込んでいて。だから同じく音楽を愛する父と娘の連帯と、若い男女のスキンシップばっちりな愛は両立すると思ってたりとか…
 哀れなのは、父代理の役を割り振られているとは知らずに恋人のつもりでいたファントムでしょうか。うーん、なかなか姿を現さずキザにバラをそっと残したりとか演出に凝りすぎたのも敗因か(嘘)


 などと茶化しちゃったのは、ファントムが可哀想で可哀想でいてもたってもいられないからです。
 映画は、音楽良し画面良しの素ッ晴らしい作品だったと思います。冒頭の、古いシャンデリアに灯がともされてメインテーマが高らかに鳴り響く場面は鳥肌モノでした。公式HPのトレイラーでも見ることができるので是非。出来れば映画館で是非。つかもう一回映画館に見に行きたい。わたしが。
 映画館を出た瞬間に、サントラ欲しいモードになってしまいました。(サントラ探索クエストにつき合わせてしまった同行者に謝りたい)

 エンジェル・オブ・ミュージックのデュエット版とメインテーマのロック入った版を繰り返し聞いています。満足です。


オペラ座の怪人パーフェクトガイド (日経BPムック)
 あとね、この本がとても良かったのです
 付録DVDの本編ダイジェスト映像がね、映画館で「おお!?」と思った場面がかなり入ってて。
 コレとサントラでDVD化まで我慢します。
 でもまだ映画館でやってるんだよなー…(うずうず)

*1:違うかもなー…

*2:対してラウルといるときは、たしかにもうちょっと生き生きした表情をしてたみたいな気がします…?