『デイ・アフター・トゥモロー』 --アメリカがごめんなさいと言った日。

 今、この映画を褒めたい気持ちでいっぱいです。
 SF古典へのオマージュ的とんちで宇宙人を倒すような馬鹿映画ではありませんでした。かと言って、馬鹿映画じゃなかったかと言うとそんなことはありませんでした。前半「このままでは人類は滅亡です!副大統領!聞いて下さい!」と人類存亡レベルの危機を語っていたのに、後半「NYに取り残された息子を救いに行くぞ!」ってパーソナルレベルになってしまうちぐはぐさとか、ええ?毎秒10度気温が下がるって?とか、狼はないだろう、とか変な点はいっぱいあったけれど…でも褒めたい。
 環境問題は大事だよねえ。とかいい人っぽいメッセージに共感したとかそんなんじゃなくて。
 あのね、副大統領の変わりように感じ入ったの。
 「環境問題なんか一銭にもならない」と言い放って恥じる気配のなかった副大統領が、傲慢への報いを受けて反省し、「大統領にふさわしい」人物になる過程、それも見所かも…(とか小声で言ってみる) ラストで大統領に就任した彼の、超大国の傲慢を恥じ、環境問題は大事でした私は間違ってましたごめんなさい、というセリフは、そのままエメリッヒ監督がアメリカに言わせてみたかったセリフだったりして。
 なーんて、『インデペンデンス・デイ』は風刺映画だと主張する私の、夢見がちな意見でした。

 個人的に、図書館の場面が残念に感じられました。
 主人公の息子さんと仲間は、図書館にたてこもって大寒波に備えるのです。
 過去の偉大な著作を愛おしみながら一頁一頁火にくべていくのは、人類滅亡の悲哀と諦念を象徴的に示していてステキかも。
 と一瞬思ったのですが、ひたる間もなくガンガン暖炉に投げ込むので激しくガッカリしました。変な東京の風景と、お母さんのシーン全部と、お父さんの払った犠牲と、黒髪の女科学者全部ナシにして、その分ゆっくりやって欲しかったです。
 司書のおじさんが、最古の活字印刷本を最後までひしと抱えているのはじんとしました。やっぱ本は燃えるより萌える方向で…*1

*1:ハズしましたか?(汗