『インデペンデンス・デイ』 --私はこの映画で大人になりました。

インデペンデンス・デイ アルティメット・エディション [DVD]

 しばらくモーレツに忙しかったのですが、明日、半日勤務すれば一段落です。そうなると映画館で映画が見たいなあ。と。
 もちろん『デイ・アフター・トゥモロー』を狙っています!
 いやあ、ローランド・エメリッヒ監督が好きなんです。つうか『インデペンデンス・デイ』が忘れられないのです。『インデペンデンス・デイ』を劇場で見て、浪費系大作娯楽映画の見方が分かりました。つまり、映画を見て笑ったり突っこんたりしてもいいんだ!と開眼したのであります。*1

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 こんな感じで、オマケみたいにたたき売られているのを見ると非常に悔しく思います。あこがれだった人がおちぶれている姿を見てしまったような!

 いや、まあ、確かに、軽〜く消費できる、ご都合主義で脳天気なアメリカ万歳娯楽映画なんですが、それでも優れた点がいっぱいあると思うんだけどなあ。(自信なさげな声で)
 素晴らしい場面もいっぱいあるし。
 まずオープニングの、巨大宇宙船の接近で月面のアームストロング船長の足跡が消え月着陸記念碑が影に覆われる所。敵が、人類の科学も勇気も問題にならん桁違いの存在だと象徴的に絵で示す、計算し尽くされた場面だと思うのですがどうでしょう? 人工衛星が宇宙船にぶつかるシーンも、相手が巨大すぎて遠近感が狂う感じが良く表現されていると思います。
 巨大宇宙船の影に覆われる地表(アメリカの権威と繁栄を象徴する名所が次々と影に)と不安げに空を見上げる人々を先に見せて、宇宙船の全体像はなかなか見せないあたりとか、市街に低く*2覆い被さる巨大宇宙船の圧迫感とか、巨大宇宙船が間近にむっつりと「いる」だけで何もメッセージをよこさない所とか、観客の不安をかきたてるべく周到に計算されていると思うのですが…。
 そんな調子で宇宙船のシーンが細かく演出されているのに対し、人間達は軽い調子で描かれています。内心では不安に思いつつ、わざと冗談で紛らわしたりとか。平静を装っているというか。危険を真っ先に察知するのが主人公で、その直感を周囲に伝えようと奮闘しますが、なかなかうまく行きません。観客は主人公の直感が正しいと知っているから一緒になって焦ります。多くの人がようやく危険を認識した頃には、時すでに遅く、第一波攻撃が!(真下から見上げる主砲が壮絶に美しい!)
 この一連の流れには、心底しびれました。「100年語り継がれる名作をリアルタイムで見ている!」と全身に鳥肌がたったのを今でもはっきり覚えています。

 それが勘違いだったと、ほんの十数分後に悟るハメになったのですが。ホントにもうあの感動を返せって感じです。
 今、書きながらDVDを見返しているのですが、あの日に映画館で感じた激しい脱力感をありありと思い出しちゃったので、途中をかっ飛ばして例の大統領の演説から見ることにします。
 人類側の大反撃が7月4日に決行されるから映画のタイトルが独立記念日なんですよね。で、作戦前にアメリカ大統領が演説をぶつのです。「来年からは7月4日はアメリカだけの記念日じゃない!人類の独立記念日になるんだ!」って。上映中短時間のうちに成長した私は、この場面の頃にはこの映画の楽しみ方を理解していたので、全力でツッコミを入れました。楽しかったです。*3

 この映画の大統領は1991年の湾岸戦争で戦闘機のパイロットをしていたという設定です。ハリウッド映画を見ていると、アメリカ大統領ってのは高潔で強い意志を持って正しい決断をする存在であって欲しいみたいな、そんなドリームを強く感じます。この映画と『エアフォース・ワン』を見ると、戦闘力も人並み以上を期待されてるのかなあ、なんて思ったりもするのですが…まさかねえ。
 ベトナム戦争でパイロットをしていたアル中オヤジも登場するのですが、大統領と比べると、なんとなく、ベトナム戦争は自慢できないけど湾岸戦争は自慢できるかも?ってアメリカの戦争観を反映してたりして、なんて思えちゃったりとか。
 んで、最後にイイトコ持ってくのはアル中オヤジの方なんですよ。勝手な想像なんですけども、それはベトナム戦争を恥じらいつつも、どこか「悪いことばかりじゃなかった、恥じゃなかった」と言ってもらいたい気持ちが現れてたり、なんて?妄想?*4
 そして今度の湾岸戦争は、数年後にどんな風に描かれるんだろう、なんて思ったりとか。

 それから。
 ローランド・エメリッヒ監督はドイツ人だそうです。
 ドイツ人がどうしてこんなアメリカ万歳馬鹿映画を作ってしまったのか不思議なんですが…この映画ぜんたいが高度なギャグというか風刺だったりして?なんて思うのは監督を買いかぶりすぎでしょうか?

*1:それ以前は真剣に腹を立てていました。

*2:宇宙船が大きいから低く見えるだけでそんなに低くないのかも知れませんが

*3:本国では、この場面で観客は総立ち・滝涙で大喝采だったそうです?

*4:追記:ドイツ人監督がそれを代弁するかなあ…>自分