『ドーン・オブ・ザ・デッド』

いやなんか、有名な作品のリメイクなんですって。
そっちを知らないので、…いや、白状するとゾンビ映画は初めてなので、私、ぜんぜん観かたが分かってなかったっぽいですよ。
ビデオで十分?とか思っちゃったよ…どうしよう。

 ホラーじゃなくってパニック映画なんじゃなかろうか。もしかして。
びっくりして椅子から飛び上がったりちびりそうになったり吐きそうになったり、そういうのを覚悟して行ったのですが。冒頭3分ぐらいから盛大に血しぶきが飛び始めたので、うわあ、やっぱ殺る気まんまん映画だ!と腹をくくったのですが…。その方角ではそうでもなかったかなあ…。
 バカ系パニック映画大好き人間としては、冒頭がゾクゾクものでした。主人公が残業から帰って寝て起きたら世界が一変してるんですもの。オープニングに挿入される断片的なニュース映像が雰囲気を高めていると思いました。子どもの頃、朝早く起きて台風情報を固唾をのんで見つめた、怖いんだけど非日常が始まるワクワク感も感じちゃったりなんかして、あんな感じ。主人公が命からがら家から逃げ出して、街の全貌が見えたところで、また鳥肌。
 でも終わってみれば、ゾンビを魅せるというよりは極限状態の人間を描写する映画だったのかもなーと、そんな風に感じました。
 ついでに文句を言うなら、ゾンビがわーっと襲ってくるシーンでは臨場感を出すためかカメラがぶれまくってて見づらいことおびただしく、それも怖さ半減につながっていたの…かも。

 あと面白いなあと思ったのが、登場人物がみんな一般市民ってことです。偉い博士や大統領なんかは出てきません。
 一般市民の彼らが、テンパった状態で出会う訳です。もちろん初対面です。誰が率いるとか偉いとかそんなのはなくて、群れた方が安全だから身を寄せ合っているだけです。そんな「烏合の衆」が、だんだんまとまって役割分担が出来てリーダーが生まれていく過程がけっこう面白かったかなー。俺についてこい的分かりやすいリーダーじゃあなかったけれど。うーん、有力者(つうかリーダーの資質のある人間?)が3〜4人いて、そのうちの1人が他の有力者をぱっと納得させることができるって感じだったかな。個人のとっさの判断力や戦闘力ももちろん大切ですが、こんな局面では相手の能力と誠実さを見きる力、周囲と団結してやっていく力が問われますね。*1
 そんなさりげない?リーダーシップという点で、割と最初から出ていた白人男性に感心いたしました次第。
 腕っ節はそれほどじゃないようですが、頭が良く冷静で必要な場面ではとっさに体も動く(前半の「政権奪取」はお見事でした)。
 で、マッチョで少々アタマが悪い男性を扱うのが上手くて、「提案」ぽく発言しながら、ちょっと相手の自尊心をくすぐって自分の思う通りに動かしてしまう。メンバーにはマッチョな男性が3人(そしてマッチョな女性が2人)いましたが、彼が影のリーダーちゅう感じでした。
 ただ、その彼、ゾンビ以前は職を転々としていてバツ3だったらしい。これだけデキる人がそんな経歴かなあ、ととても不思議に思いました。非常時にはじめて光るタイプだったのでしょうか。

教 訓:対人スキルは重要なんだなあ。
感銘を受けた評:id:nekoro:20040517
        「死せる魂の会」さま(5月19日付けの日記)

*1:あっ、私、この映画に出たら冒頭5分で死んじゃうなあ。ハハハ…ハァ