『月館の殺人 下』
- 作者: 綾辻行人,佐々木倫子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: コミック
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当人には深刻な悩みが、他人にはそこまで深刻な悩みには見えない。ここにある価値基準のズレが、笑いにつながります。そして、本当は深刻ではないからこそ、安心して笑える。
悪く言えば、ある種の鈍感さとも言えるかも知れません。
怒り、恐怖、(ちょっとここに並べて書くのはためらわれますが)恋愛感情、それらがむき出しで描かれることはなく、ちょっと体温の低い、ちょっと遠い感じで描かれます。加えて、本当は深刻ではないから、安心して笑える。
そこがいいんだー。
その面白さは、この作品でも健在でした。
ただ、殺人事件はこの作風に似合わないのではないかと思いました。
人の死に対しての恐れと畏れが足りないように見えちゃう。かも。
これがたとえば、盗難(しかも、テツ以外には価値の分からない品物だったりして)だったら、もっと心から楽しめたように思います。