『ヘルシング 8』

HELLSING 8 (ヤングキングコミックス)

HELLSING 8 (ヤングキングコミックス)

 掲載誌で読んでいると、1回の分量が少なくてかえってお腹が空くみたいな気がするのです。
 コミックスでたっぷりじっくり読んで、ふざけた自画像に、ふざけたあとがきにふざけた登場人物紹介、ふざけたあとがきゆかい漫画、カバー下までじっくりたっぷり見て、ようやく満たされました。
 そうそう、この頃から。
 アーカードが、ときおり優しい目をするのです。
 連載ではじめて目にした時はけっこう驚いた。かなり驚いた。
 アーカードは最後まで異質な化け物のままでいいし、この物語はクレイジーなままでいいし、この異常なテンションさえあればオチなんか要らないし、むしろ異常なテンションを可能な限り長く長く続けて、突然中断、それこそがこの作品にふさわしいと思っていました。
 だってヒラコー先生にそれ以外の芸風はないと思っていたから!
 わたしが間違っていました。
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
 昨今のヒラコー先生のツボを押さえた人情展開と優しい目のアーカード(実にいい顔なんだ)を思うと。 
 物語を覆う狂気の夜が明けての大団円と、人間らしくなって不死性を失い滅びるアーカード、ヒラコー先生はそれらをきっちり魅せてくれるかもなあ、なんて期待しちゃったりして!