『スタータイド・ライジング』
スタータイド・ライジング (上) (ハヤカワ文庫 SF (636))
- 作者: デイヴィッド・ブリン,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/10
- メディア: 文庫
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スタータイド・ライジング (下) (ハヤカワ文庫 SF (637))
- 作者: デイヴィッド・ブリン,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/10
- メディア: 文庫
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困ったもんだ。
困ったもんだと言いつつ、きょうも嬉々として読み返す過去のサイエンスフィクション。
『スタータイド・ライジング』はデイヴィッド・ブリンの「知性化シリーズ」の2作目にあたります。
この作者のもっとも知名度の高い作品は、悪名高い映画「ポストマン」の原作かも知れません。彼の名誉のために述べておきますが、小説「ポストマン」は映画とは別物で、映画の駄目なところはいっさい小説には含まれておらず、小説の優れたところはいっさい映画には含まれていないと聞いていますが、まだ読んでいませんすみません。
知性化シリーズは。
宇宙人がいっぱい出てくるんですよ!イルカさんとチンパンジーが同僚なんですよ!(おおざっぱ過ぎる説明)
壮大な設定、ハラハラドキドキのストーリー展開、イルカさん萌え、わんさか出てくる珍妙な宇宙人、宇宙戦艦の派手なドンパチキタコレ!などなど美点はたくさんありますが、このシリーズには非常にわかりやすい、わかりやすすぎてむしろ下品かも知れない痛快ポイント(設定)があると思います。
われわれ人類がやっとのことで宇宙に進出したら、宇宙にはもう何億年もの歴史を持つ宇宙人がいっぱいいて、宇宙人どもはみんなコネみたいの(後述)でつながっていた!という大設定があって。この世界では、バックもコネもない新参者の人類は、宇宙の孤児だの鬼子種族だの常識を知らない田舎者だの分をわきまえない新参者だのいじめられちゃって大変な訳です。
しかし!このマゾヒスティックな設定が異常にキモチイイ展開につながります。
長い歴史を持つ銀河の列強諸族どもは、強いけど頭が固い。
+
われら人類は、弱いけど若くて頭が柔らかい。
↓
機知と創意工夫と勇気で、尊大で頭の固い列強諸族どもを出し抜くのだ!
(頼もしく愛らしい相棒、イルカとチンパンジーもいるぞ!)
燃えるんだこれが。
時々この構図が極端すぎて、我々が差別されるのは本当は偉大だからだ!馬鹿にする奴らが物知らずなんだ!的な屁理屈に思えます。現実世界で、そんなこと大声で言ってたら恥ずかしいじゃん。
あと、ご立派な主人公一味vsお馬鹿なくせに尊大な敵、と善悪クッキリさせすぎみたいで、ちょっと子供っぽいかなあ、とたまに思わないでもない。
でも燃えるんだなあ。恥ずかしいことに。
わたしの勝手な想像ですが(でもそんなに間違ってはいないと思っていますが)、銀河のコネの大元、謎の<始祖>って、人類と関係あると思う。
シリーズの終わりに、人類と<始祖>のつながりが明らかになるんだと思う。絶対。
もっとも新しく卑しいとされるもの(人類)ともっとも古く高貴とされるもの(始祖)が結びつく、それは宗教とかの方面ではなんか連想させるらしいですが、
下品なホンネで書きますと、尊大な列強諸族どものプライドが木っ端みじんになって、奴らが人類に膝を屈してゴメンナサイって言うんだぜ♪ 完結まで何年かかろうとぜったい最後まで見届けないと!!!!!!
て感じ。うわ恥ずかしい。
問題は、このシリーズが一作ごとに長大になって行く傾向にあることです。
「知性化の嵐シリーズ」と銘打たれた二番目の三部作は、文庫のくせに1冊1000円もしやがる級×6冊で、まだまだ続くっぽいという…
次の三部作で一段落と予想されるそうですが、どれだけ長くなるか心配です。
老後の楽しみか…?
『スタータイド・ライジング』では、イルカと人間が大活躍します。(対して『知性化戦争』はチンパンジーと人間です)
イルカさんいいっすよイルカさん。
イルカさんたちは生まれついての天才パイロットだよーん。という設定が、らしくて好きです。
イルカさんは生まれついての詩人で歌い手で冗談が大好きで、イルカ語では雑談や悪口すらも自然に歌になっちゃう。イルカ俳句(?)も素敵です。
彼らと宇宙船に乗ったら、楽しいだろうなあと思う。<補足>
あの壮大な設定を「コネみたいなの」で済ますのはどうかと反省しました。
もう少し詳しく書こうと思います。明日。そのうち。