『SF画家加藤直之』

 

SF画家加藤直之―美女・メカ・パワードスーツ

SF画家加藤直之―美女・メカ・パワードスーツ

 各方面で大絶賛されているこの本が、ようやく届きました。
 評判に違わぬ優れた本だと思いました。
 (でもサブタイトルはどうかと思う)
 前に大判の画集3冊*1も出していましたが、今度の本はスケッチや製作過程も載ってて、読むところもいっぱいな楽しい本です。


 加藤直之とは。
 パワードスーツの生みの親と呼ばれる偉大なマイスターです。
 彼の偉大な点は、絵がイイだけではなく、SF的考察をしつつ理にかなった絵を描く点です。この本の文字部分に、その考察の過程が書いてあります。制作過程の絵と解説と2度おいしい。
 たとえばホーガンの『造物主(ライフメーカー)の掟 (創元SF文庫 (663-7))』(アマゾンに画像がなかった…)の表紙のイラストが詳しく載っていて、喜びました(わたしが)
 『造物主の掟』は木星の衛星に、機械生命の国が栄えていましたという、さる宗教のパロディの入ったとても楽しい小説です!大好きだー!
 表紙イラストは、機械の王様や機械の衛兵や機械の廷臣たちの前に歩み出る、白い宇宙服の人類というカッコイイイラストです。
 この金属の質感がたまらん。
 機械人たちの仕草が中世ヨーロッパ宮廷ちっくなのもたまらんです。
 この表紙イラストだけでご飯3杯逝けるね!!!
 って何の話でしたっけか。
 えっと、『SF画家加藤直之』からこのイラストのコメントを引用します。

 後半は光で悩んだ。舞台は地上ではなくメタンの海の底なのだ。(中略)写真と同じで、ロボットたちに露出を合わせれば地球人は画面の中では「白く飛んで」しまうし、地球人に露出を合わせればロボットたちは「暗く潰れて」細部がまったく判らなくなってしまう。宇宙服は比較的初期に仕上げてしまったので、あとで明るく塗りつぶす(細部が消えてしまうから)勇気がなかったのである。

 ばかだ!!(褒めています)
 まず第一に、わたしのような素人は露出がどうとか突っ込まない。
 第二に、カッコイイロボットもカッコイイ宇宙服もよく見えた方が嬉しい。むしろ科学的正確さのためにどちらかを我慢しろと言われる方が嫌。
 なのに、なのに、見栄えのために妥協したことに対し良心を痛めているような書きっぷり…
 加藤氏に「勇気」が足りず、宇宙服が明るく塗りつぶされなかったのを心から良かったと思いました。


追記)
 わたしにとっては加藤直之=断!然!銀河英雄伝説です。
 最初のトクマ新書版のカバーイラストです。
 道原かつみキャラ表紙のデュアル文庫版も魅力的に感じ買い求めましたが、だから新書版が処分できるかと言ったらぜんぜん。まったく。
 ヒューベリオン(;´Д`)ハァハァの血のカスケード(;´Д`)ハァハァであります。
 もぅ!もぅ!金属のぽやぽやした質感がたまらん〜。
 ハヤカワ文庫表紙絵での遭遇率も高くて、その節は大変お世話になりました。
 カバー下と見返しに、過去に表紙イラストを手がけた本たちがごしゃーっと集まってる(白黒)写真がありまして、これ持ってる!これ読んだ!あの本の表紙も!?とへっぽこ視覚的記憶力が無駄に刺激されまくって興奮、次にはその本が見たくてなり、いま、押し入れから混沌があふれ出て大変なことに。
 2冊3冊とある本もあったよ…orz

*1:ところで1しか我が家にないのはなにゆえであろうか?