『諸葛孔明対卑弥呼』
- 作者: 町井登志夫
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2002/10
- メディア: 単行本
- クリック: 23回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
前作『諸葛孔明対卑弥呼』は、そういう路線でイケてるかと聞かれると、残念ながらノーと答えねばならないと思います。孔明像にはどことなく厩戸皇子の面影があるような気もしますが、残念ながら小野妹子のポジションがいない。馬謖は似てるけど、ちょっと違う気がします。むしろ卑弥呼と難升米の方が厩戸・妹子の関係に近いように思いますが、男女じゃねえ…ちょっとネ…(腐女子発言)
また、メインの主人公はあくまでも卑弥呼で、孔明はラスボス役なので登場場面が少ないのです。卑弥呼も意外と普通に苦戦したりとかして。常識人がうんうん言ってる中で超然として、平然と奇手で状況をひっくり返すバケモノ感は、ちょっと薄いかも。
あと、魯粛、徐庶が好きな人は要注意かもです。
と、色々文句を言いましたが、面白かったです。
町井氏の特技は、幻視かも知れません。
歴史として文字に固定される段階で落ちる何かを、透視する力(妄想とも…?)
町井氏自身があとがきで述べているように、彼が幻視した倭国連合諸国の描写は興味深いものでした。それゆえ、つい比べちゃって中国の場面はアッサリ風味に思えてしまいました。三国時代のヴィジョンも濃厚に楽しみたかったです。残念。
特技その二は、地道に描写を重ねて物語を積み上げておいて、最後の最後でぶち壊し寸前のネタを突っ込んでくることかも知れません。このギリギリ感はクセになる。ヤバイ。孔明の鬼門遁甲の種明かしで、何もかも許したくなりました。*1
空城に響き渡る奇怪な琴の音も思わず脱力です(褒めてます)
孔明がアレでもしもしカメよ、とか弾いる姿が見えて「ぶは」となりました。
あまり笑かさんで下さい…ひー…