『オペラ座の怪人』--2周目/この唇は歌うためだけに

 2回目だから大丈夫だと思っていたのですが、やっぱり駄目だった。
 いやもう、とにかくファントムが可哀想で可哀想で。シクシクシク。

 前回の感想です→id:wang2zhonghua:20050214#p1


 前回ちらっと思ったけど確信が持てないので黙っていたのですが、この映画、登場人物が誰ひとりご飯を食べないの! 脇役までワインは飲んでてもご飯は食べてないの。
 ファントムが食料をどうしてるのかってのはツッコミ所の一つですが、その辺の説明はほとんどありません。*1
 あまり歌が上手くないらしい前任プリマドンナのカルロッタすら、歌うぞモードの時には差し出されたお菓子をはねのけていましたっけ。
 ああ、この人たちの口は歌うのに忙しくてご飯食べるヒマもないのだなあ、と思った。
(ストーリーに関係ないから出てこないだけって言ったらそれまででしょうけど…)


 冒頭の、シャンデリアに灯がともりメインテーマが鳴り響く場面ではやっぱり鳥肌。
 次に好きなのは仮面舞踏会かなあ。白黒にゴールドをまぶした衣装の男女が大勢でカクカクと歌い踊り、すっごい楽しそう。
 オペラ座の舞台裏、踊り子や大道具小道具係や雑役婦がごしゃーっとひしめいている場面も楽しそうでした。なんか関係者はほとんど全員がオペラ座に住んでいたそうですね。正面は夢の国みたいにきらびやかでも、裏に回ったらすっごい生活臭してそうだオペラ座。
 ヘソを曲げたカルロッタを社長さん二人がなだめすかしおだて倒しながら衣装化粧を準備して舞台にばーと担ぎ上げちゃう場面も、ごしゃーと大勢ひしめいているオペラ座を背景に流れるように進行するのですごく楽しい。
 てか、悪い人はほとんど出てこない映画だと思います。(ファントムは置いておくとして)
 大勢がプライバシーなしで詰め込まれてる所で若い踊り子が主役に大抜擢されたので、ひどいいじめに遭うんじゃないかと心配になったのですが、その気配は全くなし。おそらくいちばん身分が低いであろう掃除婦さんもぜんぜん卑屈じゃないし。ヒロインの親友は妬みのねの字もない超いい娘さんだし。主役を奪われたカルロッタも遠くでキーキー言うだけで実力行使は全くしないし。カルロッタって根は単純でいい人なんじゃないか。社長さん二人もマヌケでコミカルで、怒ってても全然怖くなくて漫才みたいで面白い。


 アメリカのホラー作家のロバート・ブロックが。
 子供の頃にサイレント映画の「オペラ座の怪人」を見て心底びびって、寝るときに電気を消せなくなったそうです。そこから類推するに、このミュージカル版「オペラ座の怪人」は人々が嫌悪を感じる要素を極力少なくして美しくまとめすぎているのかも知れません。
 でも2時間半、凝り凝りの衣装と歌と踊りを堪能しました。
 そしてスタンプカードが一杯になり無料招待券をもらいました。次はいよいよ「ナショナル・トレジャー」だッ☆

*1:隠れ家には台所らしき所は見あたらないようです?外食してるのか…?