『アレキサンダー』--2周目
上映が明日までと聞いて、もう一回バビロンをスクリーンで見たいなあ、と思って。
そうです。小動物のように喉元過ぎれば熱さを忘れるってタイプです…
台詞はなくともチラリと見交わす視線で三角関係の緊張感が分かったりとか、なにかこう、ふだん見ているB級映画とは格が違うと改めて思いました。
それだけに、精神をむしばむ映画だと思います。
血しぶき飛び交う戦場のグロ表現よりももっと有毒なモノが…人生の嫌ァな部分が…高濃度に…げふぅ…orz
前回の感想です→id:wang2zhonghua:20050219#p1
いや、しかしですよ。
アンジェリーナ・ジョリーのアレクサンダー母は相変わらず美しく、怖かったです。美しいけど怖い。怖いけど美しい。出てくると蛇ににらまれた蛙のように目が離せなくなります。
じゃなくって、
オープニングとスタッフロールの部分は深い青に光が揺らめき、トリップしそう。バビロンのイシュタール門の青とならんでこの映画の大好きな部分です。
バビロンはえがった。やっぱりえがった。タイムスリップした気分。
様々な民族が色とりどりの衣装に装身具をたくさん身につけて画面一杯出てくるのも目が楽しいです。西欧系だけじゃなくてアラビア系やらアジア系やら色んな顔を見られるのも楽しい。この人々はみんな歩いて集まったんだー、雑多な品々はヒトがいっこいっこ手で作ってたんだー、と感慨にふけってしまいました。*1
バビロンは街中ライトアップされていました。電気もない時代に、なんという発想。なんという富。
vsペルシア帝国→バビロン入城は前半の超見所ですが、バビロン王宮のバルコニーで世界一の夜景を見ながら愛を語らうのが男同士なんですよねー…対して、女性相手のベッドシーンは乱闘寄りで、いわゆるハリウッド映画に骨抜きにされた者としては「お約束」無視で進行するので居心地が悪かったです。
そう言えばアレストテレス?がアレクサンダー少年に男同士の愛は都市国家の礎になるんだ!って教える場面では勇壮なドラムの音が響いていましたし、後に妃になる娘がアレクサンダーを誘惑する踊りの場面には猛獣が吼えるカットが挿入されていました…。行き当たりばったりにお金のかかった凄い絵をつらねた訳じゃなくて、はっきりしたテーマがあってそれに沿って絵・効果・色がチョイスされていると素人目にも分かりました。(どう見てもアンジェリーナ・ジョリー怪しいよ、とか。)
それゆえ、効果絶大な映画だと思います。
お客さんは(ふだん見るB級映画に比べて)平均年齢が高めで、前回もそうだったけど今回も年輩のご夫婦が何組もいてドキドキしました。映画が終わって明るくなって振り向くと、ご夫婦達は一様に固まっているわけで。
映画は全てハッピーエンドでなきゃ!なんて子供みたいなことを言うつもりはありませんが、「カップル注意」「鬱注意」ぐらいの表記はあってもいいんじゃないかなあ、と思ったりする今日この頃です。
・2周目で気になったところ
バビロン後宮の小姓さんも、いつの間にかアレキサンダー軍にくっついてきていました。
インドの踊り子少年も最後までアレクサンダーにくっついて来ていて、セリフが一個もない役なのに決まってカメラが一瞬なめるのです。画面の端でなまめかしい体で佇んでいて、目線で演技してたりするし…コイツはなんだろう…監督のお気に入りなのかなあ…
追記>
「バビロン後宮の小姓」と「インドの踊り子少年」が同一人物だったと、1年経ってから気がつきました。バビロンからついてきた小姓がインドでダンスを披露してただけだったようですorz
カメラが一瞬なめるのは、監督の趣味じゃなくて、有名キャラだったからみたいですね。バゴアスという名前なのだそうです。
感銘を受けた感想です→id:fumiya238:20050214#p1
*1:セットとエキストラとCGで再現された映画だろうとつっこんだらそれまでですが…