『カンフーハッスル』
すっげー面白かったヨ!
悲劇性を強調しすぎててなんだか笑えちゃうとか、強さ格好良さを追求しすぎてて逆に笑いを惹起してしまうとか、そんなんじゃないです。
本気で笑わすつもりで作ってます。
全くの個人的見解なので見逃して欲しいのですが、欧米のお笑い映画ってダメなのです。な〜んか笑いツボが3センチぐらいずれてる感じがして。あとね、自分でも偏見だと思うので追求しないで欲しいのですが、画面からも俳優からも「ね、これって超オカシイでしょ?」って言いたげな雰囲気がにじみ出てるのがダメ。
ですがこの映画はとても心地よかったです。
まず笑いツボばっちりで。ネタ良し絵良しテンポ良し。
つか漫画的笑いの記号の連発で懐かしのギャグマンガを見ているようでした。それゆえの心地よさだったのかしらん。走るときの足の表現とか。ラスボスのこめかみをツーッと流れる冷汗とか。*1 「笑い」のセンスが似てるだけでなく、もしかしたら日本の漫画を研究し尽くした結果なのかも知れません?
そして、すんごく可笑しいことをシレーっとやってるのがいいなあと思いました。
当人は真剣なんだけど、傍目からはギャグだと言う。コレっすよコレ!この真摯さ。このストイックさ。こんな笑いを求めていた。香港万歳。東洋万歳。
加えて、相当量のCGが投入されてましたが、CGのためのCGではなくて、ほとんどがネタを完遂するためのCGで、そのストイックさにも感じ入りました。
ストーリーも良かったなあ。人情面への目配りばっちり的な。
まず、パンフでオーケン氏も言っておられましたが、たいていの大人は「スーパーヒーローになれなかった」という悔いを抱いており、それゆえ正義を貫けない(時もある)自分を心のどこかで恥じている…はず。その悔いと恥を強く刺激するストーリーと(わたしたちに替わって)「こんなハズじゃなかった」人生を自分の力と勇気であるべき姿に戻した主人公の姿に、カタルシスを感じるのではないか。ないか。
あとね、あとね、訳あって拳を捨て市井にひっそりと隠れ住んでいた達人たちが、共同体の危機に立ち上がるってシーケンスに激弱ぁ…なのはわたしか。いや、わたしだけじゃないに違いない!つか、おっちゃんたちの勇姿にしびれなかった人とは友達やめます・ザ・宣言。
共闘態勢にならなかったのが不満ッちゃ不満ですが、それよりも「強さのインフレ現象」をスクリーンに再現してみたかったのではないでしょうか(私信)
警察より強いマフィア<新興マフィア<達人<プロ暗殺者<…<…<…。インフレに途中から主人公が割り込むのはちょっと無茶かなあと思わないでもなかったのですが、よく思い出したらちゃんと伏線があったことに思い至り、あれはコントじゃなくて伏線だったのか!と驚きコーヒーにむせた。
そんな映画です。
ぜひご覧あれ。
わたしは週末もう一度映画館に行くつもりです。
チャイナ服黒眼鏡の二人組暗殺者(武器:琴)がも一回見たい。
*1:後者もCGだったのかしらん?