『マルコヴィッチの穴』
今頃、見ました。
すげー面白かったヨ!
ズレズレの会話も、頭に血を昇らせて右往左往する登場人物も、なんだそりゃ〜的な方角に転がっていく物語も、何もかもツボでしたヨ!!!!!
↑これじゃ説明になってないよなあ、と自分でも思います。
ジョン・ホレイショ・マルコヴィッチ(実在のベテラン俳優さんで、本人が演じています)の中に通じる穴を見つけちゃった!入ると、誰でもマルコヴィッチになれるんだよ!というお話です。
それだけっつっちゃそれだけなんですが、出てくる人がみんな変なんだ…。
主人公(売れない人形使い)と奥さん、主人公が惚れちゃった女性(マキシン)が三角関係になっちゃってさ…。三角関係っつっても、主人公→マキシン←奥さんでさ…。
マキシンはなかなか魅力的な悪女で、マルコヴィッチの穴で商売を始めるわ、マルコヴィッチを誘惑して落としちゃうわ、奥さん入りマルコヴィッチとつき合うのは興奮するわ!とか言い出すわ。
奥さんは奥さんで、私、女性の身体にずっと違和感を持っていたの!マルコヴィッチになってマキシンとつき合いたい!と言い出すし。
主人公は、変則的とは言えマキシンと奥さんがつき合ってるのを知って逆上、妻を出し抜いてマキシンの愛を勝ち取るには?とあさっての方角に暴走。貴様は妻を愛していないのか?(汗)
もう何がなにやら。
トランスセクシュアルの問題とか、ベテラン俳優の姿になって人形使いの技を披露してブレイクして彼女をゲットして主人公はそれで満足なのか!?とか深そうな話になるのかなあ、と一瞬期待したけどなりませんでした。
マルコヴィッチと主人公はものすごく悲惨な目にあってて、冷静に考えれば『祈りの海』級のトラウマ設定だと思うのですが(私にとって)、その辺がいい具合に薄っぺらで全然怖くありませんでした。
かように本筋は、真剣に考える/感動する/の要素を排除しまくってるみたいな雰囲気なんですが、それ以外の部分には力が入りまくっていて、マルコヴィッチ氏とチンパンジーと人形たちが入魂の演技を披露するので、洗濯機がピーピー呼んでも席を立つことができませんでした。
最後にイイトコかっさらってったマキシンに乾杯し、洗濯機を覗くと、中にはむっとした熱気がこもっていました。