『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 --鬱映画

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]
 尊敬する知人二人が大絶賛で、そのうちの片方が「絶対見ろ」とDVDを押しつけてくれたので拝見しました。
 見終わった時の私の顔 →(; ´Д`)
 この顔文字を使いたいと、はじめて心から思いました。
 救いのない作品を作っちゃう人の心境が本気で分からないっす。これでもかこれでもかっててんこ盛りの不幸の連続攻撃に、痛ましくて本気で涙こそすれ、コレを見て何を思えばいいのか本気で分からんっす。ヒミツを軽々しく打ち明けてはいかんという教訓なのか。自分の幸福を認識しろってお説教なのか。なのか。
 大柄な金髪女性に好かれるタイプなのか(笑)すっごくサポートしてくれる女性が二人いたのと、彼氏志願の生え際の危ういおっさんが非常に誠意のある男だったのが救いでした。つか協力者に恵まれてるんだから、攻勢に出ればあんなひどいラストにはならなかったんじゃないかなあと、つい、思ってしまいます。…鬱。
 んー。だけど非凡な作品であるのは、素人めにもよく分かりました。前述の尊敬する知人二人が大絶賛するのも納得です。
 歌以外のパートがね、カメラワークが粗雑?なの?ハンディカメラで撮ったみたいにぐらぐらしてて、しゃべる人の方をぱっと向くの。ズームインもなんかぶれててタイミングがずれてて。カット割りもなんだか唐突でBGMもなしでさ。映画っちゅーより、ドキュメンタリーみたいな雰囲気で。いやでも最近のNHKのドキュメンタリー番組の方がよっぽど小じゃれて見えるくらいの野暮ったさ。こんなにゲージュツっぽい作品だったのか退屈〜と間を持たせるためにビールを空けたのですが、直後に後悔しました。
 ミュージカルのシーンがほんとうに素晴らしい!
 カメラワークが別人の様に気合い入りまくったものになり、画面の色調も鮮やかになり、文字通り万物が主人公とともに歌い踊ります。不意打ちをくらった工場でのシーンではアゴが外れそうになりました。続いての列車のシーンが美しくて美しくて口半開きでしばし呆然と。ビールはすっかり気が抜けてしまいました。
 そして主人公のビョークさん演じるセルマちゃんが古典的な意味での眼鏡ッ娘であり大変萌えます。普段は髪がぼうぼうでぶっといフレームのビン底眼鏡なんだけど、眼鏡を放り投げて歌い踊り出すと……すんごい美人になるの!やぼったいセルマ-粗雑なカメラワークと、美人のセルマ-美しすぎる映像は、確信犯だったのかー!やられたー!

 いま、日記を書きながらミュージカルのシーンを見返しているうちに、それが全てセルマちゃんの空想だと思い至り、また鬱になりました。うーん、空想というより妄想かも…死者が蘇り加害者を許してますね。恐るべしセルマちゃんの妄想パワー………もっと鬱になってきちゃった……飲酒、しなおすかなあ。