『15歳の東京大空襲』
- 作者: 半藤一利
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 新書
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なんだか東京大空襲の話が読みたくなった(もうホワイトデーすらとっくに過ぎた)
父方祖父の命日が、昭和20年3月10日です。
日付だけ聞いて「おじいさんは東京大空襲で死んだのだ」と長いこと思っていました。
大人になって一時期、軽い軍オタを患っていて、その時詳しく聞いてみました。
・中島飛行機につとめていた
・その年は愛知県に赴任していた(三菱の工場に?)
東京大空襲と関係ないですね。
でもなんだか東京大空襲の話が読みたくて『15歳の東京大空襲』を手に取りました。
レーベルはちくまプリマー新書、ヤングアダルト対象のレーベルで、私なぞは対象外も対象外なのですが、東京大空襲の話が読みたかったんだ。
面白かったです。
いわゆる体験談は、こんなことを言うのはほんとうに申し訳ないのですが、良く書かれているものほど前後が混乱していたり…大局的な視点ははじめから含まれていないことが多い。
お堅い本を開けば、たんたんと事実が書かれていて、被災者の恐怖やパニックは、読むのをやめて想像しないといけない。
ところがこの本は、両者が絶妙な割合で混合していて引き込まれました。
体験談と軍事知識の幸福な結合とでも言いましょうか。
半藤一利少年(15)が肌で感じた「今日のは ただの 空襲じゃない」という違和感が、御年79歳の半藤一利の軍事知識で「米軍空襲担当者の交代による方針転換」とクリアに説明され、読んでいて実に腑に落ちる。
その腑に落ち加減が、読んでいて気持ちいい。
なんとなく、後に得た知識で記憶の再構成をしてるような気がしないでもな…ゲフンゲフン
今、こういう人材って少ないですよね…軍事知識と戦争体験、両方を兼ね備えていて、存命な人って。
それでも半藤一利は従軍経験はないと言う。
従軍体験をがっつり聞くにはアラウンド80以上を狙うしかない。
<追記>
軍オタ同僚は、この本には重要な事実が抜けていると言いました。
火災旋風についての言及がないって。
なんて突発プチ講義を聞かされちゃうと、私は軍オタになれないなあと思います。能力が、特に記憶力が足りなくて。