アンディ・ラウの『三国志』

 アンディ・ラウ扮する趙雲子龍の最後の戦い!


 三国志は長い物語ですから、どこをどう切り取るかが勝負かも知れません。
 『レッドクリフ』は潔く赤壁の戦いにポイントをしぼり、周瑜×孔明…じゃない、友情・努力・勝利+火計(スペクタクル)とまとめました。
 こちらの映画は、スッパリと主人公・趙雲と腹をくくり趙雲視点からの三国志ダイジェスト。
 趙雲は、とても美味しいキャラクターだと再確認しました。
 若き日の爽やかヒーローぶりも良し。
 晩年の老将軍ぶりもまた良し。
 趙雲の長坂一騎がけのシーンは、これでもかってぐらい、イメージど真ん中の若武者趙雲だと思います。
 アンディ・ラウさん(48)おそるべし。


 晩年の老将軍ぶりもまた良いのです。
 共に闘った戦友たちに先立たれ、命を捧げても悔いはないと思った主・劉備に先立たれ、蜀による天下統一の夢も消えた時代に、老いた趙雲はどんな想いで北伐に参加していたのだろうか?
 というのがシナリオの要だと思います。
 と思うのですが、最後の戦いのラスボスが曹操の孫娘の姫将軍(FFシリーズに出てきそうな感じ)だったので、ちょっと自信がない。


 それにしても老いた趙雲を演じるアンディ・ラウのたたずまいは素晴らしい。
 歴戦の老将軍に見える。
 老練の戦士に見える。
 思慮深さを感じる。
 姿勢が良くて、馬上でもアクション中でも上体がぶれないからいいんだと思います。
 (それを実現するためには、どれほどの功夫を積んだのでしょうか)


 アンディ・ラウの老趙雲だけで、この映画に星5つをつけたい。
 もうちょっと爽やかな幕切れだったら星10こつけたと思う。
 姫将軍のキャラが途中でぶれずに冷酷策士一筋だったら、たとえ戦場で琵琶弾いても星12こ。