『F.S.S DESIGNS 2』
- 作者: 永野護
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/07
- メディア: 大型本
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『ファイブスター物語』は、カドカワのアニメ誌『ニュータイプ』に連載されている漫画作品です。
載る月は16頁ぐらい、体感的に連載期間の過半数が休載で占められています。
もう丸1年以上ニュータイプに載っていません。
『ファイブスター物語』の優れた点はたくさんありますが、どうしようもない点もたくさんあります。
どうしようもなく駄目な点の一つは、コミックスで追っているだけではなかなか話について行けないという点だと思います。
4つの太陽系に、人類が住む5つの惑星があり(これらの惑星の位置関係と距離感はいまだに理解できません)、これらの惑星に国がひしめきあっていて合従連衡して訳がわかりません。
あと、一つの国に王さまが一人とは限りません。コレに気がつくまではしんどかった。
それぞれの国と騎士団とMH、敵対関係を憶えるまでがハードルが高い。
メインの登場人物の9割は、王族か、高名な祖先を持つ最強騎士か、あるいは両方です。さもなければ天才。または神。
…「厨設定」という言葉が連想されますね。
それらの人物は、偽名を使っている率が高く、物語が進んでから正体が明かされます。
水戸黄門か大岡越前をイメージして頂くといいかも知れません?
あと、だいたいは裏の目的を持って行動しています。
それはいいのですが、偽名どうしはお互いある程度は正体を見破っていて、意味ありげな会話を繰り広げるのが微妙に腹が立つかも知れません。見破れるヤツが1流で、わかんないヤツは2流よね、みたいな選民意識みたいなのが。微妙に。
まあしかし、この辺はよく分からなくてもなんとかなる。かも。
あとからキャラクターの正体を知って驚くのも楽しいもんです。*1
再読して、意味深会話の裏の意味が分かるのも楽しいもんです。
問題は設定が多すぎて、しかも随時、変更や新設定の追加がある点です。
さらに、新設定が真っ先に発表されるのは、漫画本体でもニュータイプでもなかったという点に疑問を感じます。
誰よりも早く新設定を押さえるには、カドカワ社ではない出版社から発行される薄くて高い設定集を入手して読み込まねばなりません。
普通の本屋さんじゃ売っていないんです。これが。
ボークス等のオタク色の強い模型屋で買うか、通販しかなくて、田舎モノにはハードルが高いのです。
変更と新設定は、コミックスにもいつかは反映されます。
1巻と2巻は改訂版が発行されています。
それ以降の巻は、増版時に設定集が改訂版と差し替えられるそうな。
きょうび、どこの書店でもコミックスにはビニールがかかっています。改訂版も見てみたいなあと思うのですが、見た目で判別できるのかしらん。困ったなあ。
この『DESIGNS』シリーズを押さえていれば大丈夫。であって欲しいものです。はてさて。
永野氏は、アニメのデザイナー出身のためか、「設定画」というものにたいへんな執着があるようです。
それぞれのキャラクターの設定画があって、それをアニメのセルに仕上げたものがメインイメージとして提示されています。
永野氏のカラーイラスト≒セル方式と言っていいのか。*2(数ヶ月を費やす手描き表紙イラストは?)
この設定セルイラスト、塗料の劣化のために90年代に1度セルを作り直して、さらに現在はデジタル彩色で作り直したそうです。この本で詳しく解説されています。たいへんな手間をかけています。
正直なところ、このこだわりには少し違和感を感じました。
「過去にこだわりすぎている」と感じてしまうのでしょうか。
「それよりも漫画の続きを描いて欲しい」とついつい思ってしまうからでしょうか。
うまく説明できません。
追記>
しみじみと読みました。
追加設定の嵐に、思わず遠い目になってしまいました。
すごい秘密(設定)が隠されていると仄めかされ、それらが明らかになる日がいつかきっとくると予言され、でもそれがいつか分からなくて、下手をしたら口に出して語られないまま終わりそうなあたり(本編の進行度が遅すぎるから)、ちょっとクトゥルー神話みたいかも知れないと思ったりしました。
だから好きなのかも知れない。
おお、星辰は再びさだまれり。そのうち。いつか。