『PROMISE〜無極』
最終日の昨日、駆け込みで見てきました。
いやー、なるほどこれはダメっすね(喜)
好みの傾向から、ダメ映画遭遇率の高いわたしの目から見ても、そうとうダメな部類に入ると思いました。
だいたい、万能神の満神が何がしたかったのかさっぱり分かりません。
人間をからかって暇をつぶしてたんでしょうか。ニャルラトテップの化身なのでしょうか。
ドラマティックかつ意外なストーリー展開は映画の華だと思います。
尺の都合でちょっとぐらいご都合展開になるのもしょうがないと思います。
でも、それなりの説得力を持たすための説明をすっとばしてはまずいだろう、と思いました。
美しく凝った思わせぶりなイメージ映像で構成されたダイジェストを見せられた感じです。
茫洋とした設定も座りが悪く感じられました。
「大将軍」(真田広之)が出てきて蛮族と戦っておる。無双技発動して大勝利。
それはいいんですが、どういう国のどんな大将軍なのかピンと来ません。たたき上げなのか代々の武門の出なのか、妻子はいるのかとか、そう、生活感がさっぱりない。
生活感がさっぱりないって言ったら、王さまもです。
どういう政治体制になってんのとか、群雄割拠なのか統一政府なのかとか、この王に人望があるのかないのかとか(なさそうでしたが)、大将軍はどういう気持ちでこの王に仕えてんのかとか、さっぱり分かりません。
だからお后(ヒロインの傾城)に横恋慕するのはどのくらいヤバイのかピンと来ません。まあ、一般的にはヤバイよね、特殊な状況下の例外だという暗示もないし、ともやもやしたままストーリーを追うことになります。
王城も人里離れた山頂の迷宮で、王さまとお后と大臣と兵士しかいないっぽい。生活感ゼロ。ご飯どうしてるのかすごく気になる。
王さまはすぐに死んじゃいますが、後任が立てられた気配がありません。
国としてそれでいいんでしょうか。
だいたい、全編通じて村人が一人も出てこないのは不自然です。
観念としての国、王さま、以上の意味はなく、安っぽいカキワリのように見えました。
うーん、寓話につっこむ方が野暮なのかな。
しかし。
この駄目さ加減をはるかに凌駕する萌え要素があるので参りました。
キャラクタ造形がです。
オタ心…いや腐女子回路に火が!つく!ような感じ。
さのうさんがグッと来るのも激しく納得です。
無歓らぶいよ無歓。
エキセントリック系冷酷策士・美形・かわいそうな*1悪役ポジションで腐女子のハートをがっちりキャッチです。
髪型・ファッションがファイナル・ファンタジーVIIIあたりに出てきそうでありながら、名状しがたい小物でお笑いもフォローです。あの指揮杖は何事ですか。部下の人も一斉に同じ指揮杖を出した時は笑激で呼吸が止まりました。殺す気ですか。もう勘弁してください。
俳優はニコラス・ツェーです。
アクションも非常に良かったです。
白のチャイナ服に、普段嫌味っぽく持ってる扇子で戦う…って、言葉にすると笑う所かとお思いでしょうが、見るときまってるのです。てか明らかに真田広之大将軍よりも強そうでござった。
全体に言えることですが、ワイヤーアクションのあり得ない度は思ったより気になりませんでした。主に変な人がワイヤーアクションでありえないっぽく戦ってたからだと思います。むしろ真田広之大将軍ははじけ方が足りないと思いました!それじゃ変人どもに太刀打ちできないぞ!
そんで、我らが真田広之大将軍は、ふぬけおっさんモードがすごくグッと来ました。
とがった口元に異様に似合うドジョウヒゲが、すっごいおじゃる風で、でも見慣れるとそれがいいんだ…
強くてイケメンなのに頭が悪くて気が小さい従者・昆崙(チャン・ドンゴン)とふぬけ系おじゃる風味真田広之のウッカリ主従コンビはとても良かったです。もっと長く見ていたかった。ヒロインが邪魔に思えました。
黒衣の暗殺者も、うわーいい人じゃん!!!と後半、急激に好感度がアップしました。
ぬー、も一回見たいなー。
こんなにクるならもっと早く見に行けばよかったです。
DVDが出たら絶対買おう。
あと、映画界(の一部)とスクウェアは、窮極的には同じ映像を目指しているのでしょうか。実写にCGエフェクトを重ねた、ヒロイン傾城と満神の出会いのシーンでそう思いました。
FFシリーズは、髪のなびき方が明らかに非現実的ですよね。重力か空気抵抗かあるいは両方かが、我々の住む世界と違う感じ。
布の表現も違いますよね。あり得ないほど薄く軽く強く、風になびくと言うよりは宙に浮いている感じ。
そして空と水の不自然なまでに深く鮮やかなブルー。
以上の類似点をスクリーンに見つけ、FFぽいなーと思いました。
でも、真田広之大将軍だけは無双の世界だったと思う。
『PROMISE〜無極』公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/promisemovie/
トレイラー(予告編)で、チラッと無歓のアクションを見ることができます。
しかしこの予告編の嘘度も相当なものですね(喜)
予告編の方が100倍ぐらい面白そうに見えます(失言)
デザインは、正子公也氏。
『無極 正子公也デザイン画集』てのが出版されていて、今、物欲と闘っています。
*1:騙される以前から根性が曲がっていたように見えましたが…