『ヒトラー/最期の12日間』

 ふだん出入りしているのとは別の映画館に行ったのでした。
 単館系とかミニシアター系とか言うの?ハリウッド(馬鹿)映画大好き人間にはあまり縁のない所なのですが、たまに間違えて行くと、一人で真剣に映画見に来ましたって様子の人ばかりで、殺伐としててびびります。
 ところが今日は、ロビーがきらびやかでにぎやかだったのです。
 「NANA」をやっていたのでした。
 でね、カップルいないの。女の子グループばっかりだったの。不思議。


 鬱映画だった…orz
 見て楽しい映画ではなかった。ネタ的に当然つっちゃ当然ですけれども。
 1945年4月20日からヒトラー自決の日、5月1日までが描かれています。
 ベルリンのすぐ近くまでソ連軍が迫っていて、ヒトラーご一行は地下要塞に避難しています。BGMは控えめで、代わりに(?)神経に障る大砲の音が絶え間なく鳴り響きます。
 地下室に閉じこめられて、破滅の時を待つ。
 ヒトラーも側近もどんどんテンパってきます。当然だ。
 要するにドイツは、最期に本土決戦をしちゃったのですね。首都が戦場になっちゃって、市民を避難させる暇がなかった(させる気もなかった?)
 地上の惨状+テンパる地下組の描写で、見ているこちらまで息苦しくなってきます。
 そしてヒトラー役(ブルーノ・ガンツ)の迫真の演技。
 なかなか似てるねえ、とかそんなノンビリしたもんじゃなくて。演技じゃなくて降霊に成功したのかと思う系の。妄想をわめき散らし、将軍たちに当たり散らし、さっさと逃げ出した側近たちを罵り、だんだん顔がむくんできて顔色もいやーな色になってきて、映画3時間ぐらいの間に別人のように老けて(これはメイクだろうか)、ああ、アレは憑いてるねって感じ。恐ろしい子…!
 ヒトラーだけじゃなくて、側近たちも似てて気味悪かったです。
 わたしはシュペーア氏を内心楽しみにしてたので、けっこう出番があってうれしかったです。*1
 ゲッベルスは、顔の雰囲気は似てたけど小男っぽっさがちょっと足りないかなあと思いました。
 選んだ男の運命に身をゆだねるしかなかった女性たちが痛々しく思えました。
 映画の中のエヴァ・ブラウンはすっごいいいひとで、可哀想だった。
 ゲッベルス一家は無理心中したんですよね。
 ゲッベルス夫人が…泣けた。彼女は、最後まで美しくて立派なお母さんの仮面をキッチリかぶってて。子供たちに毒を与えた後の姿は痛々しかった。ゲッベルスに撃たれる前に、夫の前で挑戦的に胸を張る姿が痛々しかった。
 あと、義勇軍の女の子。金髪Wお下げに、でっかいドイツヘルメット。男の子より勇ましくて、すっごい可愛かった。すっごい可哀想だった。


 あと萌えた点。
 スキンヘッドの大男の軍医さんがすっげえ格好良かった。
 イイ役ってのもありましたが、それ抜きでも面構えスタイル体の厚み、みんなイイ!
 ドイツ軍の軍服って、上衣が短くて乗馬ズボンだから短足には似合わないキビシイ服だと思っていましたが、逆に、足が長くて体格のいい人が着ると輝くんだな、と思いマシた。不謹慎ですけれども。
 ずいぶん出てたので、回顧録とか書いた人なのかと思って検索したのですが、よく分かりませんです。

*1:シュペーア氏は、もちょっと痩せてパサッとした感じの人かと想像していたので、ふっくらツヤツヤしすぎてたように思え、ちょっとガッカリ?