『スチームボーイ』--生気あふれる機械たち!

 観てきました。映画館で見るべき映画だと強く思いました。
 大画面で動いている所を観なくちゃダメッす!

 今、曲がった自分の性根を恥じる気持ちでいっぱいです。
 雑誌に載った小さいスチールを見て、「ヒロインがかわいくないかも」なんて言っちゃってごめんなさい。予告編を見て「どこにもひねりがないっぽい?」なんて悪口を言っててすみません。開場前にパンフのキャラクター紹介を見て、同行者とストーリー展開を予想しちゃってすみません。同行者に至っては、展開を9割5分的中させました。(ほぼ予想通りの直球ストレート作品でした)
 ですが、そんなことはささいなことでした。たしかに素直な直球でしたが、球威が想像をはるかに超えていましたですよ…。その勢いの前には子供のようにハラハラドキドキするしかありませんでした。

 個人的な思い出で恐縮ですが、はじめてジャンボジェット機の離着陸を間近で見た日のことを思い出しました。エンジン音が雷のように空いっぱいに響き渡り(それはテレビだけでは絶対に知り得ないことです)、巨大な鉄のかたまりがふわりと宙に浮く様子に驚愕しましたっけ。迷信じみていますが、物理学などで示される以上のエネルギーがジェット機にみなぎっているように感じられ、神に近い巨竜を見た思いで畏怖しましたっけ。
 フィルムの中の機械たちにも同じようなエネルギーを感じました。巨大な機械が轟音を立てて忙しく働く姿に胸が高鳴りました。たくさんのメーターが一斉に右に振れた時*1、私の脈拍はたしかに2倍になりました。周りのお客さんたちも一斉にピクッとしたので、同じ思いだったと信じます。このときめきはいったい何なのか、何の刷り込みなのかといぶかしく思うくらいときめいてしまいました。
 巨大でちょっとぶかっこうで(そこがまた愛らしい)生気にあふれた機械たちのパワーの源が蒸気機関って…なんかもう、蒸気が夢のエネルギーとしか思えません。電力なんてこぢんまりとキレイにまとまり過ぎですよ!パイプが、蒸気の圧力でべこべこっと膨らむんでなきゃ!*2動作する時に濛々と蒸気を吹き上げるのでなきゃ!
 とにかく、ミラクルでパワフルな蒸気機関とびっくりどっきりメカたちに萌え死ぬかと思いました。


 あと………
 主人公のお父さんが格好良すぎ!でした。背の高さも体の厚みも靴音の重さもはんぶん機械なところもぜんぶステキだ…
 祖父(善)-父(悪)-主人公(善)のねじれ構造と見せかけて、祖父と父はどっちもどっち…と…それどころか祖父のマッドさが全ての原因みたいにも思えたのですが…? 中盤、精力的にゲリラ活動を繰り広げる祖父(なぜか半裸)とラスボスの威厳たっぷりな父との確執に釘付けで主人公とヒロインの存在をしばし忘れた… 世に「実は壮大な親子喧嘩」系のストーリーは数あれど、父と祖父がそれやってて主人公はカヤの外ってのは新鮮だったかも…
 早くも続編製作が発表されたそうですが、お父さんがまた渋く熱く活躍してくださることを強く期待します。

*1:たしか予告編にもあったシーンだと思います

*2:危険です