『キル・ビル Vol.2』

 エル・ドライバーが印象的でした。印象的すぎてあっけにとられました。
 背が高くてスマートで美人で眼帯で強くてすごーくカッコイイのに、あんなにも卑怯で根性曲がっていてその上、間抜けだなんて…。げふう。いちいちメモする姿がなんだかおマヌケで愛らしい。書かないと覚えられないのでしょうか。アタマ悪いんだろうか…。気になる。
 タランティーノ監督って、強くて美しいヒロインがボロボロになって戦う姿に胸キュンしてしまう人なのかなあと思いました。私は逆に、パリッとしたユマ・サーマンが好きなので、彼女が泥や血でばっちくなるとガッカリしちゃうのですが…。

 『Vol.1』の無茶苦茶なかっ飛ばしぶりがまた観られると期待していたので、なんだか物足りなかったような気が…うーん。聞くところによりますと、長すぎるので前後編にムリヤリ分けたそうで、『Vol.1』の無茶苦茶なアクションはツカミの派手な所だったのかなあ。
 かと言ってあの長ーい作品をどう一本にしたらいいのか。のか。
 繰り返しとか、一見無駄話のようで実は深いような深くないような会話とか、修行シーンとか、ルーシー・リューの生い立ちアニメとか、4段階変化のラスボスみたいなエンディングとか、ああいうのを整理すればなんとか1本にまとまるんじゃないかなー?と思いつつ、多分、こんなひどいコトを考える私は、タランティーノ作品の良さをほんとうには分かっていないんだと思います。
 世の中にはタランティーノ作品の良さを分かる人間と分からない人間がいて、その境目は理屈や知識で越えることはできないようです。私の周囲の「分かる」人間は、ほんとうに尊敬できる人ばかりなので、自分がタランティーノに選ばれなかった人間だと認めるのは、すこし、つらい。

 この映画の教訓:殺し屋どうしが恋人どうしとしてやっていくのはとても大変です。