『暗黒教団の陰謀』

暗黒教団の陰謀?輝くトラペゾヘドロン

暗黒教団の陰謀?輝くトラペゾヘドロン

 大瀧啓裕先生ってこういうお仕事もしてたんですね…
 クトゥルー神話を題材にしたゲームブックです。
 プレイヤーが、アーカムに住む叔父の家に招かれる所から物語は始まります。その叔父さんの名前は冒頭では明かされないのですが、どうやらアーカム大学につとめていた研究者らしくて。*1
 幸せに長生きする秘訣「変わり者の叔父とはつき合わない、遺産は相続しない、手記は見ない、海沿いの町には行かない」が脳裏をよぎります。
 案の定、叔父さんは高熱に浮かされた譫言みたいなことを言い出します。一度は海に捨てられた<輝くトラペゾヘドロン>が、深きものどもの手で引き揚げられ、あろうことかインスマスにもたらされた。星の智慧派もいちまい噛んでるらしい。邪神復活の恐るべき計画を挫くため、<輝くトラペゾヘドロン>を彼らの手から奪い取らなくてはならないのだ! 邪神の呪いで病み、余命いくばもない私に代わり、シュリュズベリイ博士と力を合わせて人類を救ってくれ…!
 お、叔父さん、無茶を言わないでよ…
 と思ったけれど、ドラクエと一緒で断るという選択肢はなかった。
 かくして、プレイヤーは呪われた町インスマスに単身乗り込むことに…!


 結論から言うと、難しいけど面白かったのです。
 例の名物バスに乗ってインスマスの町に入り、雰囲気たっぷりの町を歩き回り、酔っ払いのオッチャンと海を見ながら真っ昼間から酒を飲んだり、有名なコンビニで買い食いしたり。そうそう、海岸から船で<悪魔の暗礁>に渡ることもできます。海底トンネルトレッキングに備えて、歩きやすい靴を履いていった方がいいでしょう。迫力満点のレリーフ、インパクトぶっちぎりの邪神像は必見! 更に足を伸ばせば、伝説の海底都市イハ=ントレイにも行けるかも!?(死ぬけど)
 夕食の後は、ダゴン秘密教団の集会に行ってみましょう。参加は簡単、ギルマン・ハウスで衣装を借りていけばOK。


 なーんて感じで、ラヴクラフトインスマスを大いに楽しみました。今回は日帰りの日程だったので、ギルマン・ハウスで一泊できなかったのが残念。と不満点はそれぐらいかなあ。書いた人の愛だと思います。


 容量の制限があるためじゃないかと思うのですが、基本的にいっぽんみちで、それ以外のルートは一見進めそうだけど、死にます。
 こちらも悪知恵を働かせて、迷う選択肢のページに指をかけて、先を覗き見て判断の材料にしたりするのですが、敵もさるもの、3つぐらい飛んだ先ではじめてバッドエンドと判明するように仕組んでたりとか。なので指3〜4本突っ込みながらヨガのように覗き見る羽目になり傍目から見るとたいへん恥ずかしい読書スタイルとなり申す。
 はっと我に返って、腐るほどあるトレカをしおり代わりに使い始めましたが、カードの厚みでページをめくりにくくなるので、あまり使い勝手は良くありませんでした。メモ用紙が最強でした。
 ただ、インスマスはたっぷりじっくり満喫できるのですが、クライマックス〜結末がピンポンダッシュみたいだなあと思いました。
 売れたら続編を!というハナシがあったらしいので、続編前提のアッサリ風味なのかも知れません。

*1:後で「もと教授のピースリー博士」と明かされます