『宇宙戦艦ヤマト2199』22話

 私はこの回が大好きです。
 セレステラがえらく可愛いし、ユリーシャ・メルダ・玲の三人の組み合わせにはとてつもない可能性を感じる。
 …お笑い的な意味で。


 ネットの感想を見ておりますと「ガミラス人がパフェ食べて大丈夫なのか?」あるいは「美味しいのか?」と引っかかる人がいるようです。
 たしかに。
 地球人とガミラス人はおそらく同祖、DNAも共通らしいです。
 とすると砂糖の甘味はともに楽しめるかも知れません。
 ここに『砂糖の世界史』と『炭素文明論』という本があります。
 砂糖の甘味ははじめて口にしても必ず好きになる。老若男女に好まれ、世界中どこに持っていっても売れるから「世界商品」となりえたと『砂糖の世界史』に書かれています。
 『炭素文明論』にはブドウ糖が生命維持に欠かせないものであるから、糖類を口にした時に強い快感が得られるように進化したのでは?と書かれています。
 DNAが共通なら、甘味=美味しいを共有できるのではないでしょうか?


 では乳成分はどうでしょう?
 DNA共通な以上、ガミラス人の赤ちゃんもお母さんからおっぱいをもらって育つのでしょうから、個人差はあるとしても完全乳糖不耐症の人種とは考えにくいと思うのですが、どうでしょうか。


 納豆などのクセのある発酵食品はどうでしょう?
 これはユリーシャすら降参する可能性があると思います。小さい頃から食べて慣れてないと、なかなか、ね。
 逆にイスカンダル・ガミラスにも地球人が卒倒するようなすごい発酵食品があったりしてね?


 ですが、ほんとうなら食べ物よりも先に考えるべきことがあると思います。
 感染症です!感!染!症!
 そもそも10話でメルダがヤマトに来た時、エアロックから出すべきじゃなかったのでは?どんな未知の病原体があるか分からないし。
 DNAが共通ったって(それだって後から調べてたよね…アバウトですよね…)、ほら梅毒とか!スペイン風邪とか!地球人同士だって数千年ぶりに接触した民族どうしで感染症を伝染させあってえらいことになってたですよね?
 未知の病原体のチェックが終わって予防接種などが確立するまで同じ空気吸ったりしない方がいいと思うのですが…
 メルダと玲は素手で殴り合ってたよね…
 ドラマ的には絶対必要な展開なんですが、未知の感染症の可能性を考えると血液とかとても危険だと思うのですが。感染源として。

 まあつまり。
 ヤマトでは感染症と食べ物の違いは考えないスタンスなんだと思います。
 「ガミラスも人だ」ということで。


 などということは、10話をはじめて見た時には考えませんでした。
 10話と言えば、アホ毛です。
 当時はヤマトにアホ毛キャラがいるってのにまだ慣れていなくて。
 メルダがヘルメットを外して頭を振ったとき、髪がフワッとなって、最後にアホ毛がピン!立ったのを見て衝撃を受けましたっけ。
 アホ毛とは、そのような存在なのか!と。


 今はもう、アホ毛も見慣れてしまいました。
 思えば遠くに来たものです。

宇宙戦艦ヤマトと農業系神話について

 宇宙戦艦ヤマトって、ギリシア神話のハーデスとペルセポネーの神話にそっくりだなあと思いました。
 どちらも冬のまま春が来なくなってしまった世界(荒れ果てて赤茶けた地球)に、春を呼び戻す話。だと思う。
 ガミラス・イスカンダルが2重星という話も、春をもたらす女神ぺルセポネーがハーデスの妻でもあるという話を思い出させます。
 2重星って発想はすばらしいですよね!
 当時裏話とかあったのでしょうか。聞いてみたい。


 先ごろ羽黒山伏さんのお話を聞く機会に恵まれましたて。
 修業の中心秘儀をあっさりお話し下さったのには仰天しました(実践しないと分からないという強気の姿勢か?)
 で、秘儀は「死と再生(出産)」のメタファーなんですよね。
 自分の葬式を上げて山に入って、山中で六道輪廻(あの世)の世界を巡って、修業を終えて生まれ直してくるっぽい。
 かつては女神のほこらに男根の象徴を投げ込む儀式などもあったそうです(今はやってないらしい?)
 というお話を聞いた夜に、ガミラス総統府にヤマトが突き刺さるシーンを観たので、宗教も芸術も最後にはそこに行くのかなあとしみじみと思ってしまいました。


 どうでしょうか。
 宇宙戦艦ヤマト=農業系神話


 だから色んな人が死んだり生き返ったりするんだ!
 とかゆってみるw


 農業神話は、毎年繰り返し冬が来るのはなぜかという疑問にも答えています。


 ヤマトが農業神話なら、毎年のように侵略とかあってもいいんじゃない?(続編希望)

『宇宙戦艦ヤマト2199 第7章』

 観てきました。
 イスカンダルがすごいキレイだった。
 劇場で観て良かったです。

 ごめんなさい、あんまり旧作知らないまま印象だけで思っていたんですが。
 今作ヤマトはスマートでちょっとね、と思っていました。
 加えて手書きの古いヤマトって、ちょっと嘘パースかかってません?
 それに比べると、今作ヤマトはデザイン上細身でパース的に正確な分、迫力に欠けるのでは?なんて思ってました。
 大スクリーンで観たら、そんなの気のせいでした。
 首都での決戦とか、「野蛮人の武器」実体弾ガンガン撃つところとか。
 格好良かったなあ。



 私、イスカンダル人は精神攻撃をするやばい種族だとにらんでいました。
 ガミラスの武力侵略はヤマトの波動砲で打ち払えるけど、イスカンダルの精神攻撃は波動砲でも実体弾でも打ち払えまい、どうするんだろうって。
 そうでなければ、遺伝子にリミッターが組み込まれてる説!
 地球・ガミラス同祖説がほのめかされていますよね。
 母体はイスカンダルに違いなくて、あらかじめ刃向かえないよう遺伝子的にリミッター入れてるに違いない!
 その予想は外れました(笑)
 そういう方角のオリジナル要素はねじ込まれていなかったことだなあ。


 思えば、テレビ放映から入って、リアルタイムで第7章を観られたいちばん幸福なパターンだったかも知れません。
 ラッキーだったなあ。
 あとね、幸福なことに?旧作にはそこまで思い入れないんです…。
 オタクの道に入った時はヤマトは既にもう古典でござった。
 だから改変部分も比較して楽しめました。
 ラッキーでした。



 いくつか語られぬ謎が残りましたね。
 どちらが先制攻撃をしたかって話、あれは地ガ双方に言い分があるってことなのかなあと想像しています。
 ファーストコンタクトだった訳だし。
 ガミラス側は無条件降伏を勧告した「つもり」で正式な回答がないから開戦宣言した「つもり」、地球はまず外交交渉を申し出た「つもり」で。
 共通のプロトコールなんかある訳ないから、かみ合ってなかったんじゃなかったのかなあ。
 で、どちらも自国の将兵には「相手が先制した」と説明する訳です。
 どうでしょう。


 本筋には関係ないのですが、あの宇宙の生命と知性は、どこから来てどこへ向かうのか、その辺の設定を詳しくお伺いしたいです。
 私はイスカンダルかその前身種族が太古に播種したんじゃないかと思っています。
 かと思えばビーメラのような非ニューマノイド知的生命体文明もあったりで。
 あの宇宙はさぞかしにぎやかに違いない。
 もしも裏設定などがあれば聞かせていただきたいです。わくわくします。

『宇宙戦艦ヤマト2199』

 ドはまりで恥ずかしい…


 なんかさ!セレステラ可愛くない?!
 見た目がガチレズのバリキャリのようでいて、実はすっごい乙女。
 妹はゴスロリだし夢が広がるよね。


 ただ、役職が宣伝相のようですがそれらしい場面を見てないような…?
 私がちゃんと見てなくて、見逃してるのかなあ。
 6巻のジャケットを眺めては、カッコイイポーズを決める総統の足元でエロいポーズをするのが宣伝相の仕事なのかなあ、まさかねえ、などと思っています。


 セレステラは、次で死んでしまいそうで心配です。
 最初から存在それ自体が死亡フラグのカタマリのような感じで。
 見るからにクライマックス手前で死んでしまいそう。
 気になるので7章を早く見たいです。
 今週末にでも時間をやりくりして見たいものですが…。

『パシフィック・リム』

 ツボすぎて冷静に評価できない作品ってありますよね。
 2時間ちょいの映画で半分以上の時間はロボットと怪獣が戦ってた。
 のかな?
 体感的にそれぐらいボリュームがあったように感じられました。
 有り難くてスクリーンに向かって手を合わせてしまいます。。
 ロボットに乗ってるのは世界を守るエリート集団じゃなくて、時代遅れのはぐれ者たちが意地を見せてるんですね。しびれる。
 もうそれだけで100点をつけちゃう。
 コヨーテタンゴが日本代表ロボって誇張じゃないか〜なんて細かい点はどうでも良くなります。


 ロボットの中ではチェルノ・アルファが好きです。バケツかぶってるような無骨なデザインが。ロボロボしたそのアームが。
 厚い装甲で敵の攻撃を耐えながら接近し、手の届く範囲まで近づいたら、敵が沈黙するまで殴る。
 そのロシアっぽい戦法もたまんないなあ。
 私のロシアイメージは間違ってるのかも知れませんが。
 もっとチェルノ・アルファの活躍が見たかったな。


 ところで、科学者二人コンビって腐を狙ってるんでしょうか?
 仲良しの上にしぐさがどこか女々しいんですよ。
 そんなでかい罠に誰がはまるかーっ!(と罠の真ん中でさけぶ感じ)
 ネットを見たら同じ印象を受けた人がちらほらいて安心しました。海外にも。
 日本文化に造詣の深いギレルモ監督なら、腐向け要素を投入してきても不思議ではないかも知れません。
 バランスを保つためにオタクキャラも登場させただけかも知れませんが。
 分かんないな…
 最近、腐ィルター抜きの風景をうまく思い出せないんです。


 最後に。
 芦田愛菜、恐ろしい子!(白目)

ローランド・エメリッヒ最新作『ホワイトハウス・ダウン』

 見てきたんですけど、何からどのように申し上げたらいいか…
 かつてないフラストレーションを感じています。
 面白かったです。
 近年のエメリッヒ映画の中では間違いなく良作の方に数えられるかと思います。
 ですが!
 どこが!
 どこがエメリッヒなのか!!


 「ダイ・ハード」の系列のアクション映画と考えればデキの良い方と思うのですが、そのデキの良さというかソツのなさが、、、うーん、どこがエメリッヒ?と。
 やっぱり、(馬鹿すぎて)誰も作らないような大量破壊映画を作らせてこそエメリッヒなのかも知れませんね。


 ストーリーは、ホワイトハウスにテロリストが侵入してあらたいへん。
 SPの面接に落ちちゃった男(チャニング・テイタム)と黒人大統領(ジェイミー・フォックス)が協力してテロリストと戦うよ!
 最初、プロが格好良く戦うじゃだめなんかなあ、と思いました。
 主人公を「落ちこぼれ」に設定することでドラマが生まれていました。ごめんなさい、私が間違っていました。
 つぎに、大統領が自分でテロリストと戦うってどうなの、と思っていたのですが。
 先例があるので少なくとも「前代未聞」のアホ設定とは言えないでしょう。
 黒幕と取っ組み合いする部分だけはそれなりの必然性があって(微妙にアホだが)、逆になんかイラッとした…ような…
 基本はシリアスなんですが小ギャグが効いてます。
 CMでも流れる「大統領、撃つんだ!」「いや撃つな!!」「ちょっと待てメガネメガネ」のお約束のシーンでプッと来てしまって、あとは劇場全体で「声に出して笑っちゃってもいいよね?」みたいなゆるい空気となりました。
 後は、まあ、つまんないネタでも「たはは」みたいになって、楽しかったです。
 最初はちょい役かと思ったツアーガイドのお兄さんが、いい味出してました。
 大勢で見たら楽しいかも。


 でもどこがエメリッヒ?
 『2012』のアホさがちょっぴり懐かしいです。

『Dr.スランプ』

Dr.スランプ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

Dr.スランプ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 私にとって、鳥山明こそが神だったのだ。


 先頃、電子書籍で『Dr.スランプ』を通読しました。
 まことにいい体験をしました。


 数えてみると、鳥山明は25歳から『Dr.スランプ』の連載をはじめたことになりますね。
 なんでこんなに絵がうまいの…。
 しかも最初からうまいの…。
 最初から完成されてるとしか…。
 扉絵の、イラストとしての完成度の高さは何なの。
 週刊連載なのに。
 かっこいい車や戦車や戦闘機が丸っこくデフォルメされてるのに細部がみっしりリアルに描き込まれているギャップ。
 いま見てもまったく古びてないと思います。
 これが天性のセンスというものでしょうか。
 おお、神よ。



 アラレちゃんの天衣無縫な乱暴狼藉やウンチネタを見ても、素直に笑えない年になってしまいました。
 代わりに、言葉少なに描かれる人間の善意に涙腺が刺激されてやばい。
 キャラクターのメタ発言や作者が漫画に登場してあいさつをしたりするノリなどには、笑いよりも「うわあ、80年代だー」と感じてしまいました。そのノリが80年代特有という根拠はないのですが。
 70年代-80年代のSF・アニメのネタを多く取り入れていますね。メインターゲットの小学生より、今で言う「大きいお友達」の方がより楽しめていたのかも?


 ダメな視点で見ますと、オボッチャマンがメガネとカツラで変装するとアラレちゃんと区別がつかなくなるのが衝撃でした。
 作者が描き分けできてないのと、作中で「似ている」と描写されるのは天と地ほども意味が違うと思うのですが、どうでしょうか。
 アラレヘッド+オボッチャマンボディを組み合わせても服を着ればアラレちゃん(純正)で通じるのも衝撃だったな。
 ダメな言い方で言えばアラレとオボッチャマンはロリとショタなので、あんまり性差がはっきりしなくてもいいし、そもそもが「同型ロボ」だから、顔も体型も同じでもなんの不思議もないのですが、
 でもやっぱりジェンダーが混乱しすぎてはいないでしょうか。
 ロボだけどね。


 すでに80年代に日本はここまでダメな方向に振り切れていたのか!と衝撃を感じたのですが。
 よく考えたら、男女が顔かたちがそっくりで服を取り替えれば交代可能ってのは、平安時代にすでに『とりかえばや物語』ですでにやられているので、べつに驚いたり悲しんだりする必要はなかったのかも知れません。


 一編、ひどく違和感を感じるものがありました。
 「赤い鼻緒の巻」
 スポ根バレエ漫画のパロディの回です。
 扉絵も、絵だけ見たら鳥山明が描いたと分からないかも。

 ヒロインが「センベ子さん」(センベエさんが女装しただけ)、いじわるなライバルが「スパ子さん」(スッパマンが女装しただけ)。
 女性キャラ陣はふだんと同じ姿で登場しています。
 登場人物が劇中劇を演じるような構成ですが、いっさいメタ発言がないのです。
 センベ子とスパ子は、この体型で白鳥の湖のコスチュームを身につけるのですか?と言いたくなるような姿(控え目な表現)なのですが、作中では誰もツッコミを入れないまま物語が進行します。
 主人公とライバルがともに憧れるお金持ちでハンサムな男性は、アラレ夫さん。
 このキャラもおかしい。
 男装したアラレなんだけど、言動がまとも。というか普通。
 こんなまともなアラレは見たことないです。
 オボッチャマンだと言われた方が納得が行きます。
(ポジション的にはアラレでないとダメだと思うのですが…)
 やがて悲劇がおき、最後はホラーテイストで終わります。
 この悲劇がギャグで救済されないのも、最後のホラーテイストも『Dr.スランプ』の中では異色に思えるのですが…