山田 野理夫『東北怪談全集』

 山田 野理夫 著
 出版:荒蝦夷
 http://homepage2.nifty.com/araemishi/
 会計の時にレジの人が挙動不審だったので、ふしぎに思いました。
 家に帰って買った物リストに登録しようとして、本にバーコードがついてないことに気がつきました。
 それで挙動不審…じゃなくて、会計に手間取ったのですね。
 私が不審だった訳じゃないんだ。よかった。


 この本、短い話がいっぱい載っていて、寝る前にちょっとずつ読んでいます。
 ひとつ引用してみましょう。

 八三番 インモラ


 羽州の尾花沢の寺は永いこと無住であったが、やっと本山から僧がきた。村では僧がまた逃げ出さないように厚くもてなした。
 この僧は、本山でもてあまされていたもので、ここにきてもなまけて、朝夕のおつとめもいい加減であった。
 それでもいないよりはいた方がいい、と村びとは思って、黙っていた。
 老婆が死んだ時も、お経はあげにきたものの、ごく短かった。それでも引導を渡したことにはなった。
 その日も、僧は寺に帰ってきて酒を飲み、酔って寝た。するとバタバタと、大鳥が寺の中を飛び廻った。
 これはインモラといって、経文をおこたる僧に出るのである。インモラはバタバタと音を立てるだけだ。
                                         [山形]

 このいい加減な僧にバチが当たったり、それで心を入れ替えたりしない…の…?

 前代の僧が逃げ出しているという部分が後半で意味を持ってくるのかと思ったら、それも違ったようだ…。
 だいたいインモラって何ですか。
 名前の理由とか、なんとかが妖怪に変わったものだ、とかもっといろいろ語るべきことがあるのではないかっ


 全部がこんなという訳でもありませんが、こんなノリの話がいくつか続いたりして、すると変にひねったり説教くさくしたりするよりも、聞いたまんま書きましたってナチュラルさがいいんじゃないか、という気持ちになってきます。