『ロード・オブ・ウォー』--笑うな。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2006/06/09
- メディア: DVD
- クリック: 34回
- この商品を含むブログ (146件) を見る
洋画を見るなら字幕派でしたが。
声優の演技が楽しい。
字幕も表示させておいて、違いを見るのも楽しい(結局、観ちゃってる)
この映画は多くの人が褒めちぎっていて、今さら私がどうこう言う必要もないでしょう。
主人公=武器商人。
という生臭〜くなりそうな題材をシュールな笑いに仕上げました。
物語は主人公(ニコラス・ケイジ)の独白で進行します。
ニコラス・ケイジがすごくいい味を出していると思います。
敵にも味方にも節操なく武器を売りまくる敏腕商人なのに、本人はどことなーくマヌケ感漂ういい人っぽいと言う。
吹き替え(大塚明夫)だとさらに嘘くさいイイ人っぽさがパワーアップしていて笑える。
そのキャラクターがどこかたんたんと詭弁ちっくなブラックユーモアまみれで語っていくのがおかしい。
「笑い」を解説するほど愚かなことはないと思いますが。
価値観の優先順位の混乱+主人公の深刻味のなさが笑いを発生させている…けれどもそれは決してワハハという陽性の笑いではなくて、「おいおいおいおい(汗」成分が大量に含まれた何か。
物語が進むと、ビジネスを手伝っていた弟がどんどん壊れていきます。
「弟はどうして麻薬に溺れちゃったのかなあ」と不思議そう(ちょっと悲しそうに)に独白する主人公。
弟が、物語の冒頭から「繊細」なキャラクターとして提示されているものですから、うっかりと主人公に同調し……
…違う!おかしいのは主人公の方だ!(自分につっこみ)
ここは「独白している主人公が標準」に見えて来ちゃう映画マジックを逆手に取っているのかも知れません。
監督のコメントを又聞きするに、「こういう商売をしていても夜ぐっすり眠れちゃう怖い人」を意図していたようです。
アタマでは「自分は悪」と理解しながらも「でも悪は悪でも必要悪」とハートのレベルでは何も感じていないような。
ですがニコラス・ケイジの演技を見ていると、感じても感じないフリをしているようにも見えなくもない。
ラリって夜のアフリカを彷徨するシーンが好きです。
感じないフリをしていたものが出てきちゃいそうになってるみたいで。
映画はすごく面白いと思います。
アフリカに路駐した大型輸送機が一晩で土に還るシーンはおかしくて美しい。