『エディット・ピアフ』
きょうは、映画を2本ハシゴするつもりで、たくさんご飯を食べてから家を出ました。
恥ずかしながらエディット・ピアフが誰か知らないまま、予告編を見て興味を持ちました。
予告編で「不幸に負けずいつでも全力で歌う主人公を観て全力で泣く映画」と刷り込まれていたためか、変なギヤが入ってしまって、10分に一回はボロボロ泣いてしもうた。
ので、1本で帰ってきました。
映画館の出口で知り合いとバッタリ会ってしまって超はずかしかった。
この映画でのエディット・ピアフは、変な人でした。
若い頃は自信なさげで不安げな猫背で、中年以降はパーキンソン症候群による猫背に見えました。
青年期以降の半眼は、物憂げでセクシーとか言うより眼瞼下垂なんじゃないか。
こっけいなぐらい高く描いた細眉も…ちょっと……(汗
感情が不安定で、スタッフを振り回し困らせ、言動が乱暴で、品がなく、口が悪い。ヤク中でアル中。
ピアフは47歳で亡くなったそうですが、映画の中のピアフは、晩年は80歳と言われても信じる。
記憶の中の女優マリオン・コティヤールは健康そうな美人だったので、化けたな、という感じ。
つーかせっかく美人女優を主演に据えたのに、だいなし。もったいない。
主役を嫌いだと思いながら2時間半の長尺を観るはたいへんです。
どうしようかと思いました。
が、それは杞憂でした。
いつの間にか「エディットかわいそう」と我がことのように涙を流し、「エディットがんばれ」と心から応援している自分がいた!
そうなるとエディット・ピアフがかわいく見えたり、美しく見えたり、
というのは錯覚で、意図的に主人公を醜く撮る場面と美しく撮る場面を分けているんじゃないかと思います。
けれども、醜い老婆に見えたピアフが、ステージに立つと別人のように自信にあふれ美しくなり、朗々と歌い上げ喝采を浴びるのはカタルシスです。
プロ魂を目の当たりにするのは、いつでも素晴らしい。
それは映画の中で描かれたエディット・ピアフについて言えますし、主演のマリオン・コティヤールについても。
ええもん見た。
でもナチス出てこなかったよ?(´・ω・`)
マルセルとの恋の場面が印象に残っています。
マルセルの前のエディットは、あの眉とあの乱暴な言動のまま、かわいらしく見える!
その後の恋人を失って狂乱する姿から、ステージでまばゆいスポットライトを浴びて「愛の讃歌」を歌い上げる姿へとオーバーラップする場面は、鳥肌が立ちました。でもこの場面の「愛の讃歌」は短かった。もっと聞きたかった。
ほんとうに無知で恥ずかしいのですが、ピアフの歌って、悲しい歌が(も?)多いのですね。
悲しいったって、はつこいが破れましたレベルじゃなくて。
貧困や死がからんだ、もっとどーしよーもない系?
軽快で時たまお茶目にすら思えるリズムに騙されていました。
あの明るさ?は不幸に負けない強靱さという翳りを含んだものだったのでしょうか?
ちゃんと聴いたことがなかったとは言え、いままで何を聴いていたのかと自分の耳を恥じる…orz
彼女の歌をもっと聴いてみたいです。
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