『墨攻』
観てきました。
前評判が今ひとつなので、ほとんどパスする所だったのですが、ポスターに負けて観てきました。
あのポスターは格好良いです!
本編の映像も、ポスターの格好良さを裏切らないものだったと思います。
時代物ですと衣装に着られている感じになってしまいがちですが、この映画ではどの登場人物たちも美しいシルエットだったと思います。
アンディ・ラウ、弓隊の隊長、梁の王子の弓を引きしぼる姿がみな決まっていて目に心地よかったです。
巷将軍は、鎧での立ち姿が決まっていた。格好良い。
梁王は、どんどんオーラが変わってくのに驚きました。嫌いなのに忘れられない。
エキストラの質が高いと感じました。
梁の住民エキストラに、現代人っぽい顔をした人がひとりもいなかったので感心しました。
兵士はおなじみ人民解放軍エキストラだと思いますが、要所要所に演技がつけてあったように感じました。ただ衣装をつけて整列しただけじゃないぞという存在感がありました。
盾部隊のマスゲームにはびっくりしました。本当にあんなことをしてたのかしら。
ストーリー面では、ひとことで言うと「粗」だと思います。
ブツ切りでダイジェストっぽいと言うか、なにか大事なことがカットされているっぽい。
たとえば女性の騎兵将校がナチュラルにいるのが気になりました。女の身で軍人、それも将校なんて、さぞドラマティックなバックストーリーがあるんだろうと思ったのですが、メインの物語にぜんぜん絡んでこなかった。
白髭の老騎兵将校と女性将校の関係が気になりました。もしかしたら親子なのかと思ったのですが、彼女の台詞から彼女の父親は故人という印象を持っていたので首をひねってしまいました。名前で呼んでたしなあ。
巷将軍と部下たちの関係も、なにか濃厚な人間関係があるように思えましたが、映画であまり触れられる事はありませんでした。
鍋料理は真剣に意味が分かりませんでした…。
後半では、戦闘以外の要素も詰め込まれています。
伝えようとした「面白さ」はどことなく分かるのですが、十分に伝わっているとは言い難いと思いました。
そしてヒロインに対しては最初から最後まで不快感しか感じられないってのもどうかと…。まさかあんな結末になるとわ。
もっと長かったのを2時間強に切りつめたのか、あるいは漫画原作のエピソードをあまり思い切って整理しなかったのか、どちらかではないかと想像しました。
そう思って漫画原作を買いに行ったのですが売り切れていました。ちぇ。
BGMもときどき滑っていたかな…。
戦闘の場面が分かりにくかったと思います。
苦労して増設した砦と元々の城の位置関係が分かりませんでした。
いくつかの戦闘が、どこで行われているのかよく分かりませんでした。
どこで戦闘を行うかも作戦のうちで、そこも面白く「見せる」べき部分じゃなかったのかなあ。
思い返すと、城の俯瞰の絵がひとつもなかったように思います。
俯瞰を入れるか、戦闘場面にもうちょっと説明台詞を入れた方が良かったのではないかなあ。
トンネルを見つける所をもっと詳しく見たかったです。
あと、小説の方にしこたま出てきた攻城兵器がいっこも出てこなかったのでちょっぴりがっかりしました。
最後に大事なことを書きます。
これは鬱映画だと思います。
どんよりした気分で映画館を後にしました。