『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』

ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)

ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)

 昔の小説は、今とだいぶ違うなあ、と思いました。
 旅の間、パラパラとポオを読んでいました。
 『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』をいちど読んでみたかったからです。(一部で)かの有名な「テケリ・リ!」の出典だと聞いたので。
 本を開いてみたら、よりにもよって(?)ポオ唯一の長編だそうで、海での危険に関係する陰惨な話が延々と続き、とてもしんどかったです。20歳かそこらとは思えない、クールでドライな主人公にも、あまり感情移入できないなあと思いました。また、脱線(?)も多く、ペンギンの生態とかナマコの干し方などが延々と書いてあり、本を間違えたのかと思いました。
 ほとんどあきらめた頃に*1「テケリ・リ!」が出てきました。南極圏を飛ぶ異形の白い鳥の鳴き声なのだそうです。
 付近の歯まで黒い土人*2は、この鳥をひどく恐れています。白い布をヒラヒラさせて見せただけで鳥を連想して卒倒しそうになるみたいです。ですが、なぜこの鳥がこうまで恐れられているのかは書いてありませんでした。


 結末も、変だと思います。書くの飽きちゃったの?って感じ。
 インターネットで調べましたところ、この話は本当にこれでお終いらしいです(がび〜ん)
 (そんなだから)他の作家により書かれた続編がいくつか存在する、とあってどれどれ、と見ると、ラヴ先生の『狂気山脈』もその中に挙がっていました。
 迷宮を探索しているうちにぐるりと巡って元に戻ってしまった、そんな思いがしたのでした。
 つぎはボルヘスを読んでみようと思います。


(メモ)
 眼鏡萌え人間としては、同じくポオの「眼鏡」を挙げねば?
 眼鏡嫌いの青年に眼鏡をかけさせるお話で、とか紹介したら勘違いする人がいたりして(期待)(『ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)』収録)


 『ゴードン・ピム』とそのフォロワーに関しては『幻想の地誌学―空想旅行文学渉猟 (ちくま学芸文庫)』という本がいいらしい(またこのレーベルか!)
 この本を探しているうちに『でぶ大全』という本を見つけた。ちょっと読んでみたい。

*1:全25章+αの作品で、該当箇所は22章以降だったのでした。

*2:と言う言葉が使ってあった