『お家賃ですけど』

お家賃ですけど

　神楽坂駅近くは牛込の、築４０年超のアパート（可愛らしいおばあちゃん大家さんつき）でのほんわかした生活を、ほんわかした文章でつづります。

　でもそれだけでは私はこの本を手に取ってなかったろう。

　筆者が『オカマだけどＯＬやってます』『たのしいせいてんかんツアー』などの著作を持つ、能町みね子さんだから買いました。
　これらの著作の行間を埋めるエピソードも含まれていて、ファンとしては好奇心が満たされて大変満足でした。
　冒頭の、サラリーマン（男性）として１年ほどこのアパートに住みいちど転出して、１年９ヶ月の後に女性として再度このアパートに引っ越ししてきた下りは面白かった。

　が、この本の魅力はそこじゃない。

　古い家をよく手入れして豊かに住むってすてき。
　古い町なみを、探検がてらのんびり散歩するのもすてき。

　いくら憧れても実践できないから、なおさら憧れるのでしょうか。

　ああ、なんで持ち物の多いオタクになんか生まれて来ちゃったんだろう。

オカマだけどOLやってます。

オカマだけどOLやってます。ナチュラル篇

　この２冊を合わせて文庫に収録したものが文春文庫から出ているそうです。
　収納の問題で、コンパクトなバージョンに買い直そうかとも思ったのですが、イラストがモノクロで収録されていると聞いて断念しました。

たのしいせいてんかんツアー