『メメント/フォロウィング CHRISTOPHER NORAN 2-TITLE BOX』

 

CHRISTOPHER NORAN 2-TITLE BOX メメント コレクターズ・セット [DVD]

CHRISTOPHER NORAN 2-TITLE BOX メメント コレクターズ・セット [DVD]

 一昨年『ダークナイト』で一躍名を上げたノーラン監督の作品です。
 2本入ってるボックスでお得でうれしい。
 私は恥ずかしながら『ビギンズ』『ダークナイト』で彼の名を知ったのですが、それ以前よりツウはチェック入れてたようなくせ者監督だったのですね。
 自分が物知らずで恥ずかしい。


・『メメント』(2000)
 目の前で妻を殺された男が主人公です。
 もちろん妻を助けようとした…けれども死角に潜んでいた共犯者に逆襲され、頭を殴られ昏倒します。
 後遺症が残りました。
 新しいことがサッパリ覚えられません。
 ケガより前の事はちゃんと覚えていて、特に頭が悪くなった訳ではありません。
 高次脳機能障害です。


 そんな男が、ポラロイド写真とメモを駆使して妻の復讐のために旅立つ!
 特に重要な事は、身体に入れ墨でメモメモ!


 2分ぐらいしか記憶が持たない主人公の体験を、わたしたち観客が共有できるように工夫がなされています。
 ラストシーンからはじまって、だんだん昔の場面に遡っていきます。
 面白かったです。
 ふつうの物語なら、時間は過去から未来に流れて、重要な秘密は作品の後ろの方(=時間的には後)で明かされます。
 それまで隠されていたことが明るみに出る、という形で。告白とか、証拠がそろうとか。
 この映画は、エピソードが現在→過去の順で並べられ、それでも重要な秘密が観客に知らされるのは最後の方。けど別に隠されてもなんでもなくて、単に主人公が覚えてないだけで…。あーあ…。
 最後に映画の全体の構造がわかって、「そーだったのか!」とじんわりキモチイイ脳内ホルモンが出る感じ。
 でも、げんなりするラストでした。


・『フォロウィング
 作家志望の若者、趣味は尾行。理由、人間に興味があるから。
 ひょんなことから妙にポリシーのある泥棒と知り合いになり、彼のレクチャーで泥棒のまねごとをしているうちに…
 私も人間に興味がない訳じゃありません。
 んが、それはあくまでも自分じゃない他人が「どう語るか」であって、言葉を介しての興味にすぎなかったなーと気付かされました。
 それはそれとして、これもげんなりするラストでした。


 ノーラン監督って、きほん性悪説なのでしょうか?
 『ビギンズ』は例外だったのかも(よく覚えてないけど)
 他人は悪意を持って嘘をつくし、場合によっては、自分だって自分に嘘をつく。
 「どう語るか」に興味のある私は、嘘をつかれること(嘘で語弊があるならフェイクをまぜられること)はあまり念頭になかったかもなあ。
 げんなり。


 このセットには、アホの子のために時間軸に沿って再生するモードがついています。
 失礼な!そんなんなくても理解できるわ!
 と言いたかった所ですが、『フォロウィング』は時間軸に沿って再生モードで見返しちゃった…


 DVDって便利ですね。