『チベット死者の書』
- アーティスト: 本多俊之
- 出版社/メーカー: スタジオジブリ
- 発売日: 2009/01/21
- メディア: DVD
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当時テレビで見て、感銘を受けましたっけ。
ひょんなことからDVDになっていることを知って、買い求めました。
最近の映画DVDの安さと比べると割高感がありますが、一緒に注文した『ドキュメント太平洋戦争』のにゃんとも割り切れない割高感と比べれば…これくらい…。こちらも良い番組で*1良い買い物をしたと思いたいのですが、画質が当時のまんまでおまけ映像もリーフレットもなし。+αの要素が皆無。
同時代のNHKスペシャルのDVD化なのに、いろいろおまけが付いている『チベット死者の書』の方が数段コストパフォーマンスに優れていると思います。
2回分が2枚のDVDになっています。
1回は本当のドキュメンタリー、インド?はラダックのチベット式葬儀と、エイズ末期患者に『チベット死者の書』を読み聞かせる場面が交互に流れます。
私が好きなのは2回目。
老師が、『チベット死者の書』に基づいた49日の法要を弟子の少年僧に見せるお話。
これは純粋ドキュメンタリーではなくて、演出入ってますね。
葬儀の途中に少年僧がカメラ目線で解説を入れるので、あああ!?と思った。
キャスト表を見れば、深い絆で結ばれていると見えた老師と少年僧は別の寺所属です。
おっと、ジャケットをよく見たら、ちゃんと「脚本/中沢新一」と明記してありました。
当時は、本物のドキュメンタリーだと思って感動して観ていました。気付けよ…自分…。
仏典『チベット死者の書』自体の素晴らしさは、本を観て頂くとして。
映像作品として素晴らしい点を上げます。
少年僧が聡明そうな美少年で、NHKの番組はいつも、子役が素晴らしい。
老師も深い知識と優しさとを兼ね備えています。
ジャケ写の二人がそうです。
そうそう、テレビで観た時は学生時代で卒後の進路について迷っていて、自分もこんな師匠に巡り会えたらいいなあ、とか思って観ていたっけなあ。
その後社会に出て、幸いなことに職業上の師匠を得ました。
が、残念ながらこんな温厚そうな人ではありません。野心家で超皮肉屋です。
話が脱線しました。
素晴らしい作品だと思います。
『チベット死者の書』の内容と歴史的背景、そして『チベット死者の書』を実際に使う様子を59分で要領よく述べています。
天然の素材と、演出入り素材を組み合わせ、一つのまとまりを作り出した手法は素晴らしい。
少年僧も老師も自然な良い表情を見せます。素の部分も多いのかも知れません。
ヒマラヤ山脈に抱かれたラダックの風景も良い。
ビデオから音声だけをカセットテープに録音してしばらく車の中で聴いていましたっけ。
キャスト表を見て、それは声優の力だったのかも知れないなーと思いました。
老師 大滝秀治
経典(チベット死者の書) 伊武雅刀
少年僧 関六合
*1:当事者が語れる最後の時代に作られたドキュメンタリーだと思います。インタビューに登場した人のほとんどが、現在は鬼籍に入られています。