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『霊と金』

霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造 (新潮新書)

霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造 (新潮新書)

 「新書は現代の百科事典である」と言い切ったのは誰だったでしょうか。
 しかし、レーベルが増え、出版点数が増え、中にはいったいどれだけの準備期間を用意したのかと首をかしげたくなるようなものを引いてしまう機会が増えたように思います。

 あと、基本的に一冊の文章量、少ないですよね。
 幅が狭いのと字が大きいのとで。本も薄いし。
 「こんなに盛りが少ないと知っていたら、最初から大盛り頼んだのに〜」的な欲求不満を感じることがあります。
 新書に満腹感を求めるのは、筋違いとは承知しておりますが。



 さてさてこの本です。
 まずタイトルをご覧下さい。


 霊 。   金 。


 どちらも、いつの世も人々の興味を強く引きつける言葉です。新しくはないけれども、永久に古びることもない言葉です。
 この二つの意外性のある組み合わせ。
 ひねらない。小細工はしない。ただ並べて見せただけ。
 並々ならぬセンスと言えましょう。
 サブタイトルが「スピリチュアル・ビジネスの構造」←旬のキーワード入り
 帯が「信じる者は救われぬ。」←力強く打たれた「。」がインパクト大


 書店の多すぎる本の中から、一目で手にとってもらえる確率、大。
 (事実、私も手に取った上に、作者に予備知識のないまま買った)


 ところが、見た目の派手さ(なんとなく中身の薄さを連想させる)を裏切り、読んだらすっごい満腹感・満足感でした。久々に新書で大アタリを引いた。
 まず、この人は専門家でした。
 ジャンルの古い部分を熟知した上で、新しい動きも詳しく調べているから読み応えがある。
 これは、にわか専門家の促成栽培的新書と一緒くたにしては失礼というもの。
 作者にははっきりしたスタンスがあり、批判にも論拠がある。読み応えがある。


 そして、最後の章で熱く語られる、「学問」への信頼感がまぶしい。
 大学キャンパスで正体を隠して勧誘する某宗教団体が許せない点は様々あれど、とりわけ、せっかく大学に入学しながら自分の頭でもの考える方法を学ぶ機会を奪われるのが許せない、と言い切っている部分に惚れた。
 「お手軽」「早わかり」な新書でヒマつぶしに知的好奇心(のようなもの?)を処理しようとしている自分を恥じました。



 じゃあ、メガテンSJで悪魔狩ってきますんで。また。