石田ショーキチ"DEATH MATCH TOUR GOING WEST"@横浜ベイシス

 会場直後はそれほど混雑してないかな?と思ったのですが、その後も人が続々と入ってきて、スタート時には狭い会場は立錐の余地もないありさま。
 遠めの会場とは言えさすがはファイナル。


 トップバッターは今期のツアーに付き従う村松ショータローとニューインディアンデスロック。
 ショータローさんは観客をあおるのが巧みです。
 例えるならばマルチタスク?
 ショータローさんの半分は精魂込めて歌い続けながら、ショータローさんのもう半分は観客を良く見ていてコミュニケーションをしかけてきます。
 歌いながらどんどん前に出て来るし、リアクションを要求するし、バシバシと観客と視線を合わせてきます。
 「キャーこっちを見たわ!私を見たのよ!(錯覚)」とかではなくて、歌いながら0.5〜1秒ずつパパパと次々と観客の目をのぞき込んでいると思います。
 やっぱりこう、目が合うと(年甲斐もなく)ドギマギしちゃって、ちゃんと聴いてます!楽しんでます!と伝えねばいかん!!とリアクションで示したくなります。
 なおかつ。
 腕を振り上げるタイミングが多少アレでも、尻つぼみになっても、リズムに合わせて体を動かすのがぎこちなくても、ショータローさんの笑顔と勢い(と、両脇の眼鏡からつっこまれてたじたじのダメ兄さん的なキャラクター)は、すべては許されているとの安心感をもたらします。
 佳いバンドだと思います。
 ツアー完遂、おめでとうございます。
 心からおめでとうございます。


 話は飛びますが、最後にショータローさんが観客全員にプレゼントを手渡す時間がありまして。
 プレゼントを渡したあとにもひとりひとりに両手で力強い握手をしてくれるショータローさん(笑顔)には…ときめきますですよ。
 そのあとコーヤマさんからも握手してもらって(無理矢理求めたのですが)「いつもアリガトね」と言葉をかけてもらったのも大感激でした。
 コーヤマさん、自伝が本になったら10冊買って隣近所に配ります。きっと配ります。
 さらに話は飛びますが。
 いただいたプレゼントDVDを再生したところ、MCで両サイドのメガネどもにメタメタにつっこみ入れまくれられてしどろもどろになる村松[歌はうまいのにMCはしどろもどろ]ショータローさんが映っていました。
 あふれる涙をおさえられませんでした。


 話をもとに戻します。
 次は真打ち。
 第五期石田ショーキチバンド!
 下北沢の時よりもさらにスマートになり、サンバイザーoff。
 少しハサミを入れていくばくか明るくしたと思われる髪は、       …鬼太郎のようだ。
 一曲目が観客には知名度が低いと思われるカバーというのは、どうかじゃなくてこの編成ならこんな曲も軽々カバーできますよとの例を端的に示すTears For Fears『Everybody Wants To Rule The World』
 2曲目以降がどんな表情を見せるか震えて待て、と言わんばかりの強気の一曲目選曲。
 もっとも、この曲なんだっけ的なとまどいの空気を周囲から感じないでもなかった?
 石田ショーキチは、己のファンの音楽的素養を過大評価しているのか、それとも世代差を全く考慮していないのだろうか、と時々疑問に感じます。
 センター試験で作者と作品をつなげ式の問題が出題されるならTears For Fearsには『Shout』が対になりそうに思うのですが、ど真ん中から微妙に外してくる
この選曲眼は……か……格好いいと思います……
 続いて、たたみかけるようにキーボードパートの美しさの際だつ曲が続きます。
 スクーデリア・エレクトロのラストライブに立ち会えなかった者の、あくがれ出づる魂は。
 探し求めていたのはこの音この肌触りだった…と改めて気づかされて。
 ありがとうございます。
 きょう、わたしは、やっと成仏できそうです(合掌)


 ところがおもしろMCがぶちこわしじゃない引き留めます。
 下北沢(11/14)の「明るくポップ」でない雰囲気はおもしろMCが少なかったため…なの…?
 演奏中は、ショータローさんに比べれば内向的というか自己陶酔的なスタイルと思うのですが。
 うつむいてギターのチューニングをはじめ、ややあって「…あのねえ」と話し始める下らない話の面白さと言ったら。
 ひとしきり笑った後に曲がはじまると、体もほぐれて手拍子も腕を振り上げるタイミングも、正確さが多少改善されるように思えます。


 途中で主催者が「飛ばそう、飛ばそう」とメンバーに声をかけて、それからたたみかけるようにテンポの速い曲が続きます。
 昨年のツアーよりもテンポが速いと思いました?


 (1回目の)アンコール後。
 時間も10時近く、照明もBGMも「もう公演はおしまいですよ」って雰囲気が漂う中、それでもフロアを埋め尽くした観客は誰一人帰ろうとせず、アンコールを求める拍手を続けます。
 どうなんだろう、わがまま言ってもダメなのかなあと思いながらも拍手を続けていたら、2回目のアンコールに応じてくれました。
 わがままなファンでごめんなさい。そしてありがとう!!
 「もう10時回ってるの知ってる!?」「お休みなさいの歌です*1」と言いながらも丹念に準備をして演奏をはじめたのは『Truth』
 …主役がシンセの操作に失敗してやり直しに。
 タイミング良くかかった「やっぱり(シンセ)弾けないのかなあー?」*2のヤジに思わず演奏の構えを崩し苦笑。
 真顔に戻ってはじまった『Truth』は、瑞々しくキラキラしく、はるばる遠くまで来た甲斐があったなあとしみじみと思いました。


 その夜はすごーくよく眠れました。


 わたしはドラムのアラジン先生が好きです。
 彼の叩く音も好きですが、
 ほとんどしゃべらずひたすら叩き続けるドラムのアラジン先生が、MCに対しても表情と身振りだけでリアクションする(と言うとのっぽさんのようですね)アラジン先生が大好きです。面白くて。
 メンバー紹介の時に、主催者とアイコンタクト…いや目をまっすぐにのぞき込んで「余計なことを言わないで下さいね」と視線で念を押しているアラジン先生が。
 メンバーの冗談に対して、抗議の(?)バスドラ一発。
 面白かったなあ。
 続いてイントロでチョンボして文字通り orz となるアラジン先生(静岡でも同じミスをしたそうな)、宙を見つめて指折りカウントを確認するアラジン先生。
 目を閉じるとアラジン先生の姿ばかりが脳裏によみがえります。
 そんなアラジン先生が2回目のアンコールの時に「ここのマイクにも音下さい」としゃべったのですごくびっくりしました。



 腕を振り上げるにあたり、おずおずと肩の上まで手を挙げてから、勢いよく腕を振りはじめる近くにいた男性のマナーの良さに感動しました。
 (そして我が身を恥じました)

*1:これ聴いたら帰れの意か

*2:今日は「俺はシンセ弾けるんだー!!!」とさんざんアピールしていたのでした