『坂の上の雲』
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/02/10
- メディア: 文庫
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Vistaを設定している待ち時間にちょっとずつ読んでいます。
秋山好古・真之兄弟(と弟の親友の正岡子規)を主人公にすえ、彼らの目を通じて…
のはずなんですが、余談だが→さらに余談だが→さらに余談を続ける
とどんどん話が脱線していく構造が、待ち時間に少しずつ読むのにちょうど良いです。 正岡子規の退場の早さは『銀河英雄伝説』のキルヒアイスに匹敵し、主人公がふっつりと出てこなくなる部分の長さは『銃夢-ラストオーダー-』…には負けるかな。
ちょうどバルチック艦隊が喜望峰を回ったあたりです。
主人公そっちのけで、えんえんとバルチック艦隊の苦労と不運が描かれています。
日本海海戦って、ばくぜんと、世界最強の艦隊を、東郷平八郎&秋山真之たちが知恵と勇気と友情パワー(嘘)とラック値で打ち破る、いま話題の『レッドクリフ』的な話かと思っていましたが…。
バルチック艦隊が世界最強なんてのは名前ばっかりで。
限りなく烏合の衆に近い集団が、イギリスの嫌がらせを受けながら、大西洋を南下、アフリカ大陸をぐるっと回ってインド洋を経由と、世界を4分の3周して日本までちゃんと来られただけで拍手喝采、のように思えてきました。
不愉快で不吉な事故が相次ぐ航海に、将兵が神経を病み「俺たちは野蛮人(日本人)に殺されるために世界の果てまで連れて行かれるのだ」という確信を深めていくあたり、ちょっとしたホラーです。
ただ、あまりにも多くのことが書かれすぎていて、構成?ストーリーの緩急?なにそれ美味しいの?状態になっていると思います。
脱線部分も全部読んで、作品全体を感じて、時代の空気に浸るのがよろしいのでしょう。
ですが。
たとえば再読用に。
バルチック艦隊の航海のところや、そのちょっと前に主人公そっちのけで熱く語られていた児玉源太郎の格好いい場面などがピックアップされたダイジェストがあったらいいなと思ったりします。
そういう意味では、電子書籍に向いていやしないか。
あと、同じくあまりにも多くのことが描かれすぎている映画『レッドクリフ』の吹き替え版を見てつらつらと考えていたことでもありますが。
登場人物ごとの短いストーリーを複数用意する形式というのは悪くないのではないかと。
例:真・三國無双シリーズ
そのスタイルの起源は、中国史書の列伝形式にさかのぼる。
ってことはないか。
おや、データのコピーが一段落したようです。