『ミス・ポター』

 ピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターの生涯を描いた作品です。

 ビアトリクス32歳。パラサイトシングル。
 母は「縁談を片っ端から断っちゃって、この娘ったらお嫁に行く気がないのかしら」と愚痴をこぼす。
 わたしは「お嬢様」なんてタイプじゃない。上品に女らしくなんて上手くやれない。お化粧もおしゃれも得意じゃない。
 ただ自分の机に向かい、絵筆を走らせる時だけが幸せ…
 結婚もしたくない。
 このままずっと絵を描いて暮らせたら…
 

 そんなビアトリクスの元に、幸運が舞い込んできます。
 彼女の絵を「作品」として惚れ込み、彼女を「アーティスト」として扱ってくれる編集者です。
 彼は、若くてハンサムで「威圧的でない」男性です。
 なによりも、今のままのビアトリクスを好きだと言ってくれる男性です。
 やがて二人は結婚の約束を交わし…


 と、20世紀的オタク女は、見ていて苦しかったです。
 オタク女はこういう夢想を抱いてるんだろう?と言われてるみたいで。
 ビアトリクスが、女性らしい優美さとは対極の、少々ぎこちなく、焦ると軽く挙動不審になってしまう身のこなしだったので、余計に苦しかったです。
 これはオタク女に対しての宣戦布告か!?


 と言うのは冗談です(棒読み)


 英国湖水地方の風景は美しく、ピーターたちのイラストが紙の上で動き出す演出は素敵でした。
 しかし、後半はイメージで流れて終わってしまったように思われました。
 1時間半という短めの尺のためでしょう。