雑誌に『夏草の賦』の事が載ってた
「タイトル」という雑誌を買ってきました。
2007年9月号。
特集が「ビジネスに効く時代小説全203冊!」
なんだかすごそうだ!
この雑誌は初めて購入したのですが、ほんとうは男性向けの雑誌なのでしょうね。
オススメ小物が男性ものばっかりだし。
対象年齢はどうだろう?
サブで『24』特集が組まれているあたりが若そうでもあるし、お気に入り時代小説を紹介する大企業トップの顔ぶれを見るに、また「藤沢周平でめぐる山形・庄内の旅」という特集のあたりはじじむさいような気がしなくもない。
30代かなあ。
でも、「人気作家が直伝!時代小説読書指南」の項に畠中恵が登場しているのに少々違和感を感じます。この人は、若者と女性に人気があると思っていました?(読まずに印象で語っています)
ああ、あと、ちょっと疑問に思ったのですが、特集のタイトルが、表紙と目次とで違ってるのですけれども、いいのでしょうか?
表紙に載っている特集タイトルが4つ、うち3つが目次では微妙に変わっています。
例)表紙「この夏、藤沢周平の山形・庄内へ」
目次「藤沢周平でめぐる山形・庄内の旅」
わたしは「用語の不統一=脳がユルイ/ツメが甘い証拠」とたたき込まれてきたので(カミングアウトすると、わたしはちゃんと出来なくていつも叱られていた)、大丈夫かしらと心配になります。
もしかしたら、テクニックとしてわざと変えているのでしょうか。
詳しい人に聞いてみたい。
ちなみに、目次と本文でのタイトルの一致率は、見た感じ9割ぐらいでしょうか。
読みたかった記事は、
大企業の経営トップ、気鋭の若手社長が明かす
「成功する」時代小説はこれだ!
です。
キヤノンの会長さんが司馬遼太郎の『夏草の賦』を挙げているのです。
正直、構成が「?」と思ったので、別の人の、特にこれが好きだって人の感想を聞いてみたかったんだ!
…
構成についての文句はありませんでした。
元親の、飛躍の後に秀吉によって四国に封じ込められた挫折を、「我が身にも起こりうるもの」として読んだようです。日米貿易摩擦が最高にホットな頃だったそうな。
また「トップには臆病さがなくてはならない」という下りが自分の考えとぴったりだったそうです。
それから、個人的な想い出。
アメリカでは営業の旅をすると何日もうちに帰れなかった(アメリカは広いから)。
奥さまが営業の旅のためにカバンに荷物をつめ、衣類や日用品の間にそっとオススメ本も入れておいてくれたんだそうな。
そのうちの一冊が『夏草の賦』だったとか。
ええ話や…
ところでこの本は、元親の正室・菜々が、美濃から「鬼国」土佐へ輿入れする場面からはじまります。物語は半ば、菜々の目を通してつづられていく。見合いひとつでアメリカへ嫁いで来た妻は、奈々に親近感を抱いてこの本を薦めたのでしょう。5年前に先立たれ、もはや尋ねることはできませんが。
恥ずかしながらわたくし、インタビュー記事を読んでうるっと来たのははじめてです。
追記)
しげしげと見て。
この特集記事の写真にダウトだ!
お気に入りの時代小説を手に取った写真が載っていますが。
持ってる本が、書店で買ってきたばかりの本に見えます。
特にミクシィの社長さんの『国盗り物語』1巻は、新潮文庫のヒモのシオリが思いっきりデフォルト位置に見えます。
お気に入りの本だろ!ぼろぼろに読み古した本を持参してよ!
雑誌のスタッフが用意した(と推測される)新しい本をそれっぽくめくってんじゃないよ!
と思ったのですが、忙しい人々ばかりですから、何十年も前の本がすぐに出てくるとは限るまい。引っ越しやなんかの時に処分しちゃったかも知れないし。借りて読んだのかも知れないし。
「文字が印刷された紙を束ねた本」という形でいま所有していなくても、想い出がくっきりと心の中に「ある」ことの方が、すごいのかも知れない。