『川本喜八郎―人形-この命あるもの』(追記)

川本喜八郎 人形―この命あるもの (別冊太陽)

川本喜八郎 人形―この命あるもの (別冊太陽)

 買うよ!もちろん買うよ!
 もちろん買ったよ!


 これは20年ぐらい前に、人形劇の三国志で使われていた人形です。
 番組もすごかった。
 操る人のテクと声優のパワーで、人形に魂が入っているようだった。
 DVD版が先年発売されたので、機会がありましたらぜひご覧下さい。


 そんで、この本は、「静止した」人形の写真集なんですが。
 これもまたいい。
 すごくいい。
 「写り」がいいだけじゃなくて、それぞれの人物「らしい」ポーズで写っているんです。
 キャラクターをよく知った人が撮ったんだと思います。
 たとえば。
 ええと、ぱっと見て、趙雲関平のポーズがかぶっていますね。腰の剣に手をやりながら前方を見据えるポーズで。
 ですが、関平は顎を上げて高めの位置を見ているのに対し、趙雲は顎を引き気味にして慎重に身構えている感じで、なるほど趙雲の方が歴戦の頼もしさを感じさせるなあ、と。
 川本先生は、顔の造形や、衣装の布にこだわり抜いたと聞きます。
 これらのポートレイトを撮った人々も、ポージングとライティングをこだわり抜いていると思います。
 こだわりの二乗。
 これがすごくないはずがない。


 話は変わりますが、選挙のポスターって、ここ数年路線が変わりましたか?
 昔は党首のポスターとかって、もちっと親しみやすさを前面に出していたように記憶しているのですが、先の参院戦の党首ポスターは「怖い」感じ、いや、決断力やリーダーシップを強調するイメージに作られていると思います。
 安倍さんに至っては、やりすぎてるっつーか、アングルとかヒ○ラーに似てるよね…
 まあそれで川本喜八郎人形ですけれども。
 曹操のポートレイトは、その辺の政党の党首ポスターよりも上っすよ。
 胸を張り、片手を腰の剣に、片手に采配を持って遠くを見据える姿、肩の線に自然な力強さが感じられ、曹操の決断力とリーダーシップをとても良く表現していると思います。
 たまりません。


 …カメラに対して心持ち右肩が前になる立ち方で、首を右に向けているポーズ、顔に影が入るライティングは、曹操の高い知能と狡猾さも余すところなく表現しているかも知れません。


 後ろの方、小さい白黒ページに川本喜八郎人形美術館収蔵の人形のカタログがあります。
 小さくて白黒で、一度に複数のキャラを見て比較できるので、ちょい役まで凝りに凝ったポージングの妙がよく分かります。
 こんど絵を描く時にぱくろう。


 川本喜八郎の人形写真集としては

川本喜八郎 三国志百態

川本喜八郎 三国志百態

 があります。品切れ。
 あと、Windows95の時代に出たCD-ROM版がありました。
 今も手元にあるんですが、XPじゃ動かないのです。ちぇ。