『砂の女』

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

 わたしの周囲で、読書家で、知識が広く、センスの良い人は、例外なく『砂の女』を好きだと言います。
 わたしは、『砂の女』はあんまり好きではありません。
 「女」が、陰気で気持ち悪すぎるし、結末の後味の悪さも好きにはなれません。
 思うに、100%の希望は嘘くさいけれども、100%の絶望も違うと思うし、もしも現世が100%の絶望しかないものだとしても、目の前に突きつけられるのは嫌だ。嫌だったら嫌だ。
 これらの嫌要素を上回る素晴らしい点を、センスの良い人は感じ取れるのだろうか。
 わたしにはセンスがないからかなーと悲しくなります。
 今回再読して、やっぱり素晴らしいとは思いましたが、「好きだ」と言い切る感覚はますます分からないと思いました。
 すげー気持ち悪いじゃん。
 明日会社に行ったら、一人捕まえて問いつめてみたいと思います。