『沈んだ世界』

沈んだ世界 (創元SF文庫)

沈んだ世界 (創元SF文庫)

 1962年の作品。
 50's脱出だ!ニューウェーヴだ!新しいぞ!
 地球温暖化のために、主要都市が水没してしまった時代が舞台です。
 ヨーロッパの古都の気温が140度と書いてあって、それじゃたいへんだなあと思って読んでいました。
 よく考えたら、摂氏でなくて華氏なんですね。
 摂氏で言えば気温60度でしょうか。摂氏でもじゅうぶんたいへんですね。


 まぶしく輝く太陽、水没する古都、輝く水面、そこを我が物顔で泳ぐワニたち、倦怠と祝祭、古都の死と不完全なよみがえりと再度の死、ありありと「見える」作品だと思いました。
 でも、読むのに馬力がいると思いました。
 目に浮かぶ鮮烈なイメージも、冒険要素も、ぜんぶ暗喩というか心象風景みたいで、なんだか、疲れた。