『夢みる宝石』
- 作者: シオドア・スタージョン,永井淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/10/31
- メディア: 文庫
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養父にひどい折檻をされ、家を飛び出したホーティ少年は、街を旅するカーニヴァルの一座に保護された。団長のモネートルは、奇形動物や奇妙な人間を集めるかたわら、不思議な能力をもつ水晶を探していた。一見なんの変哲もないその水晶は実は生きており、痛みや憎しみなどさまざまな感情を発する。そして水晶が夢みるとき、土の塊から花や昆虫が、小鳥や犬が生まれるのだった……。幻想SFの巨匠がつむぎ出す珠玉の名品
旧版カバーの作品紹介より
新版も出てます→(ASIN:4150115486)
こんかい、『夢みる宝石 (ハヤカワ文庫 SF 365)』→『人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)』と読んでみました。
作者氏こそが「スタージョンの法則」で名高い人と耳にして、かつて(背伸びして)手に取ったのですが、ダメだった。
でも、若い頃ダメだー!と思っても、年を経ると読めるようになる本もあることだなあ。
しょうしょう話がそれますが、個人的に感想が書きやすくて好きな本は、最近あげたものだとキム・ニューマンの『ドラキュラ紀元』です。
つーか、照れるんだ!
そもそも人を夢中にさせる物語というものは、ロマンティックだったり、勇気!友情!勝利!とかそんな感じの青くて恥ずかしいものですが、そこに感動して泣いちゃったなんて正直に告白するのは、照 れ る ん だ ! う わ ー !
対して『ドラキュラ紀元』ですよ。キム・ニューマンですよ。
もちろん、そういうこっ恥ずかしい部分もキム・ニューマンは丹念に描いていますが、それ以外の部分の凝りよう(新しい支配者を得て変わりゆく時代、ヴァンパイアたちの奇妙な生活習慣、登場人物の元ネタ探しゲーム)が半端でないので、えんえんとそれについて語ることができます。あたかも恋愛ネタなんか入ってないかのようにえんえんと。
そう言うのって、すごく安心する。
対して、『夢みる宝石』の感想の書きにくさと言ったら!
思わず赤面するような恥ずかしいもので9割以上が構成されているような。
知的障害や肉体の歪さゆえに「人間以下」と蔑まれ疎外されていた者たちが、危機に際して命がけで示す正義感と勇気、愛にボロ泣きしました。なんて恥ずかしくて言えるかっての!鮫男ソーラム激萌え!ジーナのような高潔な女性に出会えた主人公の幸運を、心から祝福したい!ななななんてこと口が裂けても言えるか!超恥ずかしいっての!!!!!