『イーチン・タロット』

イーチン・タロット―運命のメッセージ

イーチン・タロット―運命のメッセージ

 これはタロットカードではないと思うのですが、美しい絵のかかれたひとそろいのカードセットを見ると、ふらふらとレジに持って行ってしまう癖がなかなか治りません。
 このセットに使われている「タロット」という語は本来の意味でなく、「占いカード」ぐらいの意味ではないかと思います。タロットという言葉が一般化したということでしょうか。
 イーチンとはすなわち「易占い」ということで?
 いわゆる儒教で言うところの四書五経のひとつ『易経』が出典で、古い映画なんかで占い師さんが大量の箸みたいなの(筮竹と言うらしい)でじゃらじゃらやっているのが易らしいです。岩波文庫の『易経』の解説に筮竹を使うやり方が書いてあるのですが、なんかい読んでもまるで意味がわかりません。
 入門書を見ると、コイン3枚トス×3回×2セットで代用してもよいと書いてあったりします。ほっとしますね。
 コイントス×3回×2セット、すなわち2の6乗で、結果のバリエーションは64になります。
 その64の結果を、さいしょから64枚のカードに描いておいて、占いカードのように扱おうという発想だと思います。
 素人考えでは、コイントス×3回×2セットに意味があるように思えてならないので、カード式にすると64枚からランダムに1枚を選ぶ訳で、トライは一回になっちゃってて、うまく言えないけどこんなに手続きが違っていいのかという疑問を感じます?
 まあそれは置いといて。
 カードで易占いという発想はこれがはじめてではないはずです。
 我が国におけるタロット占いの先駆者の一人、アレクサンドリア木星王氏が過去に『イー・チン・タロット占い』(ASIN:4791606094)という64枚の易占いカードと解説本のセットを出版しています。1984年出版。この本もパイオニアではないようで、この本の口絵写真ではアメリカ、フランスで出版された美しい易占いカードが紹介されています。
 わたしのお気に入りはこれ→(ASIN:1572811161) ※アマゾンのサンプル画像が増えたようです。
 日本国内では「水墨画イーチンタロット」等の名前で紹介されているようです。
 筆で勢いよく描かれた抽象的な絵に、ポイントに朱が使われ、卦が金で箔押しされている、美しいカードセットです。アメリカのトランプとタロットカードばっかり出しているメーカーU.S.GAMES社のもの(もともとはスイスのAGM社が出していたのかも?)
 これはときどき出して眺めます。美しいです。目の保養です。めっちゃ癒される。
 付属のブックレットが(とうぜん)英語で1ミリも読む気になれないので、かわりに岩波文庫の『易経』を買ってきたのですが、日本語で書かれているにも関わらず難解すぎてまったく意味がわかりませんでした。もうちょっと占いに特化した本を買い求めるべきだったと思います。
 (追記:↓こちらにカードの画像がありました。通販も可能
 http://www.phgenki.com/cgi-bin/genki/siteup.cgi?category=4&page=1
 ここでようやく話がもとに戻りますが、『イーチン・タロット』に付属する解説本は、64卦の意味をシチュエーション別にわかりやすく解き明かしていて、これなら安心です。付属のカードも魅力的で、コレクションとして死蔵しないで、おみくじがわりに日々使ってみたいなと思わされます。(本気で占いするのは怖いからしない)
 もともとはwebコンテンツだったそうです。
 http://fortune.goo.ne.jp/iching/
 占いは有料ですが、サンプルでカードの絵を見ることが出来ます。



 易と聞いて想い出されるタロットカードがあります。
 「The Haindl Tarot Deck 」(ASIN:0880794658)
 これはアマゾンでサルバドール・ダリのタロット(ASIN:0880790903)を一万円で買うまでは*1、わたしのコレクションの中でもっとも高価なタロットカードでした。うわ。いまならこんなに安く買えるのか!
 「The Haindl Tarot Deck 」は、欧米のみでなく、東洋やアフリカ・南米の神話や神秘思想までどん欲にタロットの構造内に包括させようとした意欲作です。絵自体もめっちゃ美しいんですけど。
 このタロット、易も包括しようと試みています。
 ところが、卦の描いてあるカードを数えてみたら64卦よりも少なかった。はずだ。
 と言うのも、いまこのセットを取り出そうとしたら、箱しかなかった。なぜだー!
 タロットカードはフルセット78枚ですから、大アルカナにまで印刷すれば64卦すべてカバーできるはずです。
 なぜそうしなかったのか。なにを基準に取捨選択したのか。
 岩波版『易経』とつき合わせて推理してみようかとも思ったのですが、本が難解で難解で難解で…。


追記>
 イーチンタロットのカードをよく見たら、カードに卦が描いてないのに気がつきました。ちょっとガッカリしちゃった。

*1:愚かと言わないで下さい。国内タロット専門店のカタログには三万円の価格で載っていたのです