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『クリプトノミコン』

クリプトノミコン〈1〉チューリング (ハヤカワ文庫SF)

クリプトノミコン〈1〉チューリング (ハヤカワ文庫SF)

 なぜクトゥルー分類になっているかと言うと、タイトルが「ネクロノミコン」とかけてあるからです。でも中身はぜんぜん関係ありません。
 面白いのです。
 枝葉が多すぎてメインの話はたいして進まない。
 でも面白い。
 全4巻だそうです。大長編だったんですね。
 でもそれぞれに違うサブタイトルがついているから、巻ごとにプチクライマックス→プチ完結を期待するじゃないですか。
 なのにだら〜っとした感じで1巻が終わって唖然としました。
 近所の本屋で、フェアだったのでしょう、新しい帯で平積みになっていたので手に取ったのでした。
 きょう、その本屋に2巻以降を大人買いの覚悟で行ったら、帯付き1巻しか置いてなくて唖然としました。シリーズものの1巻をプッシュしたなら、続巻も取り寄せておいて欲しいものです!売る側の責任として!


 この本の面白さは(現時点では)ストーリーではないと思います。
 そもそも9割くらいがストーリー進行に不要なもので出来てそうな印象です。特に現代パート。冗長度が高すぎ。
 なのにその無駄部分が面白くて侮れません!
 無駄なウンチクとちょっと斜に構えた描写がとても心地よいのです。ヲタクが喜ぶ書き方だと思います。現にわたしがおおよろこび。思えば、だびんちなんとかの原作にこういう文章を期待してて「思ったより薄味だった」とか文句を言っちゃったような気がします。
 細かく章が立てられているので、時間が空いたときに2〜3章読んで無駄な部分が無駄に面白い。たいして話が進まないから、次に読むまで時間があいても大丈夫。
 しばらく移動中の友として楽しませて頂きました。
 早く2巻が手に入るといいのですが。


 二つのストーリーがからみあって進みます。大して進まないけれど。
 現代フィリピンでビッグビジネスをもくろむコンピュータ技術者と愉快な同僚達の冒険。これがまた絶望的に話が進まない。
 第二次世界大戦下の、暗号解読科の自閉症ぽい青年と、ある海兵隊兵士の戦い。こちはらそれなりに戦況が進むのでそれほど退屈はしませんでした。暗号ウンチクが楽しい。
 現在パートと過去パートはからみあって、読者をやきもきさせます。
 <現代パート>日本軍に破壊された古い街の描写→<過去パート>パールハーバーの日にまさにその街で恋人と別れを惜しむ海兵隊青年の姿が描かれる(恋人の運命は!?)→<現代パート>子孫とおぼしき人が出てきて安心する。
 そんな感じ。
 過去と現在がリンクすると、なにかじわーっと脳内ホルモンが出て気持ちがいいです。話が進まなくて、忘れかけた頃に急にリンクするから余計に気持ちがいいんだと思います。
 わたしは<過去パート>日本軍兵士の後藤さんのその後がとても気になるのですが、<現代パート>に南方の島の日本人慰霊墓地とか出てきちゃって焦っています。息子世代とおぼしき花束持った人がいるし!
 早く2巻が手に入るといいのですが。